「選ぶ」ではなく「選ばれる」ための努力を
本書の序章では、大豆の輸入を例にコンテナ輸送の基礎を解いている。和食の根幹、日本の味を代表する味噌や醤油、納豆の原料になる大豆すら、そのほとんどを輸入に頼っている日本。
しかもかつてのように「日本製家電が海外で求められる」という輸出神話も過去になってしまった今、コンテナ輸送の実態から見える日本の現状は、やはりかなり厳しいと言わざるを得ない。
筆者の松田氏は第六章の最後で〈今後の日本の国際物流や貿易に関して、日本の人々が立たなければならない前提が変わっている〉ことについて述べている。すでに日本は「選ぶ」立場にはなく、「選ばれる」ための努力をしなければならない状況にあるのだ。
門外漢にも一から分かる丁寧な筆致で、楽しくコンテナ輸送の実態を教えてくれる良書。だが突きつけられた問題は極めて重い。
ライター・編集者。1980年埼玉県生まれ。月刊『WiLL』、月刊『Hanada』編集部を経てフリー。雑誌、ウェブでインタビュー記事などの取材・執筆のほか、書籍の編集・構成などを手掛ける。