「党員除名」日本共産党の規約が怖すぎる|松崎いたる

「党員除名」日本共産党の規約が怖すぎる|松崎いたる

党員ジャーナリストの松竹伸幸氏の除名問題で露呈した“崖っぷち志位和夫委員長”の焦り。そして、志位氏による除名正当化の“トンデモ主張”からわかる共産党規約の恐ろしさ。『日本共産党 暗黒の百年史』の著者で元共産党員の松崎いたる氏による「こんなに変だよ日本共産党」第1弾!


志位 松竹氏は、自分の行動は、「言論の自由」「出版の自由」にもとづくものだということも言っているようです。しかし、「結社の自由」という角度からこの問題をぜひ捉えていただきたいと思うんです。
 憲法21条には、「言論、出版の自由」などとともに、「結社の自由」が明記されています。これは1988年12月20日に出された「結社の自由」に関する最高裁の判示ですが、読み上げたいと思います。
 「(結社の自由とは)各人に対して、政党を結成し、又は政党に加入し、若しくはそれから脱退する自由を保障するとともに、政党に対しては、高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなしうる自由を保障しなければならない。他方、右のような政党の性質、目的からすると、自由な意思によって政党を結成し、あるいはそれに加入した以上、党員が政党の存立及び組織の秩序維持のために、自己の権利や自由に一定の制約を受けることがあることもまた当然である」
 これが、「結社の自由」の意味であります。松竹氏は、自らの自由な意思で、わが党の綱領および規約を認めて入党しました。そうである以上、かりに意見があれば、党規約というルールに基づいて、それを表明すべきでした。そういう権利は党規約に保障されております。それを一切せずに、党の外から攻撃するということは、これは党規約に違反する。松竹氏が、自らの自由な意思で党に加入した以上、異論があったら、そういう正式なやり方で表明したらよかった。しかし一度もそれをやらなかった。党から脱退する自由もあるんです。しかし、そうではなくて、党員でありながら、ルールを破ったわけですから、これは私たちとしては、当然、「政党の存立及び組織の秩序維持」のために一定の対処をするのは、これは当たり前のことになります。

国民に見抜かれている除名問題の本質

長く引用したが、これで何を言っているのか、 わかる人がどれほどいるだろうか。引用外の部分も含めて会見内容を整理をさせてもらうと、

1.憲法で「結社の自由」が保障されているのだから、除名するのも自由だ。
2.マスコミが除名処分を非難するのは「結社の自由」への侵害だ。
3.松竹氏は異論を持ったから除名されたのではなく、党外から意見表明したから除名された。

というところだろう。

志位氏が〝異論があったから除名したんじゃない〟とわざわざ強調しているのは、共産党の規約には「意見がちがうことによって、組織的な排除をおこなってはならない」(第3条第5項)という条項があるからだ。だが今回の除名問題の本質は「党首公選制」という〝異論〟にあることを多くの国民が見抜いている。

判例を都合よく切り取る志位委員長

ところで志位氏が除名を正当化するために持ち出した「1988年12月20日の最高裁の判示」とは何だろう。じつはこれ、戦前の「共産党リンチ事件」の真相を暴露して除名された当時の副委員長・袴田里見氏(故人)をめぐる裁判の判決である。

除名された当時、袴田氏は党中央委員会が所有する家屋に居住していたため、党が家屋の明け渡し及び賃料相当損害金の支払を求めて提訴。それに対し袴田氏はそもそも除名処分が不当であることを主張し争っていた。

この裁判の判決の一部が志位氏が会見で読み上げた文章なのだが、志位氏の都合の良いように切り取られているので注意が必要だ。

この判決の一番のポイントは「政党が党員に対してした処分が 一般市民法秩序と直接の関係を有しない 内部的な問題にとどまる限り、 裁判所の審判権は及ばない」というところにある。志位氏は結社の自由は憲法によって保障されている=守られているかのように主張するが、実際のところは、結社内部の問題に裁判所は介入しないと言っているに過ぎない。

「結社の自由」とは公権力の介入の禁止もしくは制限のことだから、問題となるのは公権力(政府、裁判所、警察等)の行為であり、民間の報道機関が、特定の結社に対して厳しい批判を加えたとしても「結社の自由」の侵害になろうはずがない。

志位氏が引用しなかった判決文の冒頭にはこんなことが書いてある。

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