メガソーラービジネスを強力に後押し
ところが、日本の豊かな里山を守る取り組みに真っ向から反対の立場で論陣を張り、太陽光ビジネス関係者の利益を最大化するよう様々な主張を行ったのが、〝国際政治学者〟の三浦瑠麗である。
2020年10月に始まった官邸の成長戦略会議に「有識者」として参加している三浦瑠麗は2020年12月、太陽光発電の事業者を有利にする数々の提言を行った。
国のエネルギーの半数近く(45%)を太陽光とすべきと主張した上で、「固定価格買取制度の下限設定」とか「太陽光ビジネス事業者に対する様々なペナルティの撤廃」など、露骨に夫の会社の主たる事業であるメガソーラービジネスを強力に後押しした。
成長戦略会議は、日本の今後の成長戦略を計画・立案する政府の最強の会議体のひとつだ。ここで決められた方針は国家予算の策定に大きな影響を与え、会議の提言を実現するために必要な法整備も行われる。
そして成長戦略会議の議論中でもエネルギー政策は柱のひとつである。
国のエネルギー政策のあり方を議論する極めて重要な会議の8人の有識者のうちの1人である三浦瑠麗。今回、強制捜査を受けた夫・三浦清志の会社「トライベイキャピタル」と、三浦瑠麗が代表を務める「山猫総合研究所」の所在地は同じで、シェアオフィスという形態をとりながら実態としては2つの法人は一体化していると指摘する関係者もいる。
また三浦清志が代表理事を務めていた一般社団法人「エネルギー安全保障研究所」(2021年6月閉鎖)には三浦瑠麗の実妹が理事を務めるなど、太陽光ビジネスは「三浦家のファミリービジネス」といっても過言ではない。
そんな三浦瑠麗が「山猫総合研究所」の名で、太陽光発電を強力に推進する様々な提言を行ったのである。
太陽光発電によって巨額の利益を得ている人間の妻が、国の重要な会議で太陽光発電事業者を有利にするような提言をする。これはもはや品性下劣とか厚顔無恥とかいう倫理の問題ではすまない。
個人の利益・利得のために国の政策や予算を捻じ曲げようとしたとも言えるのであって、厳正な調査と処罰が必要である。そして、こうした太陽光発電の直接的受益者にエネルギー政策に関して発言させる機会を与え続けてきた政府の罪も極めて深い。
これまでの三浦瑠麗の発言や提言のなかに、三浦瑠麗個人や三浦清志のビジネスを利するようなものがどのくらいあったのか、それが予算や法律の制定、行政業務に影響を与えたケースを洗い出し国民に示すのが、政府の最低限の責務である。