〝太陽光の直接受益者〟三浦瑠麗を政策立案に関与させた官邸の大罪|山口敬之【WEB連載第23回】

〝太陽光の直接受益者〟三浦瑠麗を政策立案に関与させた官邸の大罪|山口敬之【WEB連載第23回】

1月20日、三浦瑠麗氏は「今般、私の夫である三浦清志の会社が東京地方検察庁による捜索を受けたという一部報道は事実です。私としてはまったく夫の会社経営には関与しておらず、一切知り得ないことではございますが、捜査に全面的に協力する所存です」とコメントを発表。本当に「まったく」「関与」していないのか? (サムネイルは「三浦瑠麗チャンネル」より)


異様な提言と自民党山口県連からのカネ

2020年12月の三浦瑠麗の提言は、夫を含む太陽光ビジネスの事業者を有利にする具体的な提案のオンパレードだが、そのなかにひとつ異様な提言がある。

10.ゴルフ場跡地利用における環境アセスの簡易化

根拠法令等「環境影響評価法」
一度開発されたゴルフ場の跡地を利用した太陽光発電の事業計画に関しては、環境アセスメントを免除または簡易化すべき。太陽光発電とゴルフ場設備の差異に絞った簡易な環境アセスメントの実施や手続きの免除/省略を認めるべき。

三浦瑠麗は、ゴルフ場跡地をメガソーラーに転用する場合、環境アセスメントを免除すべきと主張したのである。

三浦の主張に従えば、ゴルフ場として林地開発許可を取った後に太陽光事業に転用された岩国メガソーラーは環境アセスメントを免除されることになる。

太陽光発電事業者が事業用地として狙いをつけているのは、ゴルフ場に限らない。耕作放棄地や廃業したリゾート開発予定地、人里離れた公有林・民有林など、まとまった広さを確保できる土地であればどこでも構わない。

それなのに三浦瑠麗はなぜゴルフ場に絞って「環境アセスメントを免除すべき」という提言を行ったのか。岩国メガソーラーの事業者である上海電力日本や関連事業者からの請託を受けて、極めて具体的な提言を行った可能性がないか、徹底的に調べる必要がある。
 
この視点から、私はある政治資金の流れに注目している。

三浦瑠麗は2017年、自民党本部と自民党山口県連から合わせて62万7580円のカネを受領している。なかでも山口県連からの受け取ったのは講師料名目で54万円と突出して多い。

2017年といえば、上海電力日本が山口県岩国市でのメガソーラー事業参入を具体的に検討し始めた時期だ。

そして2020年10月、林芳正に極めて近く、衆議院鞍替えの立役者である柳居俊学(山口県議会議長)が、岩国メガソーラーの施工業者である戸田建設幹部を地元選出の岸信夫前防衛大臣に無理矢理引き合わせたことがわかっている(詳細は月刊『Hanada』2023年3月号を参照)。

一方、三浦瑠麗は自身が司会を務めるインターネット番組で対談するなど、林芳正との個人的な交友関係を隠していない。

関連する投稿


再エネ事業で中国の国土侵食を許すな|加藤康子

再エネ事業で中国の国土侵食を許すな|加藤康子

いったい何のための重要土地法だろうか。中国共産党のフロント企業である上海電力が青森県で3件、風力発電事業の認可を受けている。現場を視察してわかったことは、国として国民の財産と生命を守る意志を放棄している日本の惨状だった。


成長戦略を起動させる原子力の活用|奈良林直

成長戦略を起動させる原子力の活用|奈良林直

太陽光、風力などの再生可能エネルギーだけで電力やエネルギーの供給に成功した国は存在しない。ドイツを中心とした再エネ優先政策は、もはや破綻した。


岩国メガソーラーで見えた親中ネットワーク|山口敬之【WEB連載第20回】

岩国メガソーラーで見えた親中ネットワーク|山口敬之【WEB連載第20回】

大阪の咲洲メガソーラーに関連する私の記事や発信に対する批判や非難、誹謗中傷の多くに、日本維新の会関係者や支持者が関与していることがわかった。ところが岩国市など大阪以外の上海電力の絡むメガソーラー取材に対して様々な圧力をかけてきたのは、明らかに自民党の関係者だった――。


【橋下徹研究⑫】橋下徹がついた致命的なウソ|山口敬之【WEB連載第13回】

【橋下徹研究⑫】橋下徹がついた致命的なウソ|山口敬之【WEB連載第13回】

橋下徹氏は、上海電力のステルス参入問題について、繰り返しウソをつき続けている――。にもかかわらず、7月26日、橋下氏はツイッターでこう吠えた。「月刊ハナダよ、俺と上海電力を闇と言うなら、安倍さんを含む自民党と旧統一教会も闇だと言えよ。人を見て主張を変えるアンフェアの典型やな。近々フェアの思考という本を出すから、それでフェアについて勉強しろ」。フェアでないのは橋下氏のほうだ!(詳細は26日発売の9月号をお読みください!)


【橋下徹研究⑪】「副市長案件」弁明の崩壊と橋下市長関与の証明|山口敬之【WEB連載第11回】

【橋下徹研究⑪】「副市長案件」弁明の崩壊と橋下市長関与の証明|山口敬之【WEB連載第11回】

6月20日以降、ツイートがない橋下徹氏。ほとぼりが冷めるまで待つ方針かもしれないが、いつまで「副市長案件」で逃げ切るつもりなのだろうか。「副市長案件」「遊休地だった」と抗弁する橋下氏の弁明には何の説得力もないどころか、事実を歪曲し隠蔽する悪意がはっきりと浮き彫りになっている――。【※サムネイルは『実行力 結果を出す「仕組み」の作りかた』 (PHP新書)】


最新の投稿


【今週のサンモニ】反原発メディアが権力の暴走を後押しする|藤原かずえ

【今週のサンモニ】反原発メディアが権力の暴走を後押しする|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【読書亡羊】「時代の割を食った世代」の実像とは  近藤絢子『就職氷河期世代』(中公新書)

【読書亡羊】「時代の割を食った世代」の実像とは  近藤絢子『就職氷河期世代』(中公新書)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【今週のサンモニ】臆面もなく反トランプ報道を展開|藤原かずえ

【今週のサンモニ】臆面もなく反トランプ報道を展開|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

米国大統領選はトランプ氏が圧勝した。米国民は実行力があるのはトランプ氏だと軍配を上げたのである。では、トランプ氏の当選で、我が国はどのような影響を受け、どのような対応を取るべきなのか。


【今週のサンモニ】『サンモニ』は最も化石賞に相応しい|藤原かずえ

【今週のサンモニ】『サンモニ』は最も化石賞に相応しい|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。