「また増税か」との国民からの声
岸田文雄総理が今月4日の年頭会見で打ち出した「異次元の少子化対策」。我が国にとって少子化は最重要課題であり、「異次元」の対策となるよう私も全力を尽くしたい。
しかし、その財源について自民党税制調査会幹部が、「将来の消費税も含め、地に足をつけた議論をしなければならない」とテレビ番組で述べたことから、「また増税か」との声が国民から上がっている。
「異次元の少子化対策」は、岸田内閣の支持率が低下傾向の中で、その内容がしっかりしたものになれば、国民は期待し支持は回復するであろう。だが、今の状況は、防衛費増額財源のたたき台として増税が出てきたように、国民からすると「岸田内閣の諸施策=増税」と見えてしまう。
増税を国民にお願いするのは最終手段と考えており、その前提として増税しなくても財源が確保できるよう徹底的な議論をすべきだ。特に少子化対策は将来への投資であるから国債発行を考えるべきである。
そして、我が国の経済を見ても、現時点で国民に増税をお願いする状況ではないと私は考えており、新型コロナ禍からの経済回復と、安定した経済成長路線を確立すべきことが最優先であろう。
岸田総理は小倉将信少子化担当大臣に、政府に新たな検討会を設置し3月末を目途にたたき台をまとめるよう指示したが、自民党内の議論を並行して進め、本当に「異次元」の少子化対策としなくてはならない。
私は今、根本的な少子化対策に取りかからなければ、日本の将来は厳しいものになると考える。
出生数、初めて80万人割れの見通し
令和4年の出生数は統計開始以来初の80万人割れの見通しとなっている。そして、国立社会保障・人口問題研究所による最新の「日本の将来推計人口」は今年前半に公表される予定だが、前回平成29(2017)年の報告では、日本の人口は2065年に8800万人、2100年には5970万人になると推定されている。
人口が現在より半減しても、イギリスやフランスと人口は変わらず、我が国はやっていけると思うが、世界第3位以上のGDPや経済力を維持するには、経済活動の規模からも私は1億人近い人口が必要であると考える。そして、人口は国防力そのものにもなるから、人口の半減を食い止め、少しでも高位に留めさせなくてはならない。
だからこそ、私は子供を産み育てたいと望む方の希望が少しでも叶えやすくなるよう、不妊治療の保険適用を推進した。私自身が不妊治療の経験者として高額な費用がかかったことから、保険適用の実現を目指し自民党内に議員連盟を立ち上げ活動を続け、菅義偉総理の決断で実現した。
昨年4月から実施されており、不妊治療の費用軽減と社会的理解の促進を図ることが出来た。そして、子供政策を一元的に行う「こども家庭庁」は、創設の原動力となった議員連盟の発起人となり、こちらも菅政権において実現することが出来た。
私は併せて、これまでに国会論議でも児童手当の大幅拡充を訴え、特に第2子以降を倍増する思い切った傾斜配分を主張してきた。第1子1万円、第2子2万円、第3子4万円、第4子8万円を月額で給付するものである。
予算額は約4兆円となり、現在の児童手当の総額1兆2900億円からは大幅増となるが、経済状況から子供を産み育てることを断念しないような額を給付すべきであると考えてきた。
しかし現状の少子化が止まらない状況においては、もっと思い切った策を取るべきと考えている。