中国の強みと弱みを両にらみせよ
本書を通じて言えるのは、中国が手ごわい強国になったことは間違いないが、だからこそ強みも弱みも知らなければならない、ということであり、さらには現実に日本がどう相対してきたか、を知ることがいかに重要か、ということだ。
保守言論では、中国の軍事力については脅威論を唱える一方で、中国経済については崩壊論も根強かったし、産業に関してはパクリを嘲笑する風潮もあった。だが現実はどうだったか。一方で、さらに前にはメディアに中国礼賛論が溢れ、安易な日中友好論が跋扈していたことも確かだ。
どちらに偏っても、中国という大国と対峙することはできない。強みと弱み、双方を両にらみできる目が必要であり、その目を養うのに本書は欠かせないのである。
ライター・編集者。1980年埼玉県生まれ。月刊『WiLL』、月刊『Hanada』編集部を経てフリー。雑誌、ウェブでインタビュー記事などの取材・執筆のほか、書籍の編集・構成などを手掛ける。