【読書亡羊】中台統一に「タピオカ屋」まで使う習近平 川島真、小嶋華津子編『UP Plus 習近平の中国』(東京大学出版会)

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その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!


中国の強みと弱みを両にらみせよ

本書を通じて言えるのは、中国が手ごわい強国になったことは間違いないが、だからこそ強みも弱みも知らなければならない、ということであり、さらには現実に日本がどう相対してきたか、を知ることがいかに重要か、ということだ。

保守言論では、中国の軍事力については脅威論を唱える一方で、中国経済については崩壊論も根強かったし、産業に関してはパクリを嘲笑する風潮もあった。だが現実はどうだったか。一方で、さらに前にはメディアに中国礼賛論が溢れ、安易な日中友好論が跋扈していたことも確かだ。

どちらに偏っても、中国という大国と対峙することはできない。強みと弱み、双方を両にらみできる目が必要であり、その目を養うのに本書は欠かせないのである。

梶原麻衣子 | Hanadaプラス

https://hanada-plus.jp/articles/712/

ライター・編集者。1980年埼玉県生まれ。月刊『WiLL』、月刊『Hanada』編集部を経てフリー。雑誌、ウェブでインタビュー記事などの取材・執筆のほか、書籍の編集・構成などを手掛ける。

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