国会を完全に軽視するNHK
実は、NHKが対応を取らない中、韓国「日帝強制動員歴史館」では「緑なき島」の映像が使用し続けられており、放送局KBSも今年3月に再び映像を使用した。そこで改めて私はNHKに対し、著作権が切れているにせよ、番組の制作元として、そしてジャーナリズムとして、本来の趣旨と違う捻じ曲げられた使われ方に抗議しないのかと問いただした。
これに対しNHKは、KBSには今年7月に「目的外使用ではないか」と文書で問い合わせたが、回答は来ていないと答えた。さらに私は、「日帝強制動員歴史館」やKBSとMBCに対してNHKが公式に映像を使用しないよう文書で求めるとともに、会長が会見を開いて声明を発するべきではないかと問うたが、NHKは「持ち帰らせてほしい」と答えるにとどまった。おそらく、また数か月放置される可能性があると思うので、こまめにNHKには問い合わせたい。
そして、NHKが国会での会長答弁を守っていないことも判明した。
昨年5月の参院決算委員会で前田晃伸NHK会長は、山田宏参院議員の質問に対し、「島民の方々に向き合いながら、新たな検討をするように指示をしたい」と答弁した。端島の旧島民の方々は、端島炭鉱が実際と違う描かれ方をしたために、「島民は朝鮮半島出身労働者を苦しめた」という韓国の謂われなきプロパガンダにより精神的苦痛を受けてきた。
NHKが具体的な対応を取らないため旧島民の方々は弁護士を通して質問状をNHKに送り、NHKは弁護士を通し回答してきているが平行線のままである。私から、前田会長が答弁した「島民と向き合う」「新たな検討」について具体的に何を行っているのか聞いたが、NHKからは「旧島民とは弁護士を通して接している」との回答。「新たな検討」についても何ら行っていないことが分かった。
すなわちNHK会長が国会で答弁したことを実行していないという大問題が判明した。国民の代表からなる国会を完全に軽視しており、今後の国会審議で絶対に問いただしていかなくてはならない。
「徴用は強制労働ではない」
さらにこの問題は、ユネスコ世界遺産に登録されている「明治日本の産業革命遺産」を解説する「産業遺産情報センター」の展示内容にも影響を及ぼそうとしている。
昨年7月22日、ユネスコ世界遺産委員会は、旧朝鮮半島出身労働者をめぐる説明が十分ではないとして、「強い遺憾」を盛り込んだ決議を採択し、犠牲者を記憶するための方策をとるよう勧告した。ユネスコは今年中に勧告の実施状況を報告するよう日本に求めている。
私は「産業遺産情報センター」を訪問し展示内容も詳しく見ているが、当時、日本本土のみならず日本国民であった台湾や朝鮮の人々も徴用され、炭坑労働時の食料事情は厳しい時期があったことがわかるなど、十分な説明が行われていると感じた。
徴用は賃金が支払われており、「徴用は強制労働ではない」と日本政府も答弁している。ユネスコの勧告を受け、展示内容に歴史的事実に反するものが加わる危惧について私は政府に問い合わせたが、政府は現状の展示を補足する方向だが歴史的事実に反するものは絶対に加えないとの答えであった。
このようにNHKの「緑なき島」が引き起こした問題は、我が国の歴史の事実が韓国のプロパガンダにより捻じ曲げられかねない状況となっている。NHKはしっかりとした対応を取るべきである。私は引き続き国会内外で追及していくとともに、政府に対しても産業遺産情報センターなどに「強制連行はない」との政府公式見解を展示するよう働きかけていく。