昭恵夫人が涙をこらえきれなかった言葉
菅前総理の弔辞では、安倍昭恵夫人が涙をこらえきれなかった言葉があった。
「武道館の周りには、花をささげよう国葬儀に立ちあおうと、たくさんの人が集まってくれています。20代、30代の人たちが、少なくないようです。明日を担う若者たちが、大勢、あなたを慕い、あなたを見送りに来ています」
「これが、あなたの口癖でした。次の時代を担う人々が、未来を明るく思い描いて、初めて、経済も成長するのだと」
実際に、一般献花に並んでいる方の列を見ても、20代、30代を中心に若い世代の方が多かった。安倍総理は、給付型奨学金の導入、幼児教育保育の無償化、そしてアベノミクスによる経済成長と、未来を担う世代のために政策を次々に実現してきた。若い世代の圧倒的支持は、まさに安倍総理が実現してきたことの評価の表れなのである。
一方で、「国葬反対」を叫ぶ勢力を一部メディアが後押ししたことにより、世論は引っ張られた。日本は元来、十七条の憲法にあるように「和を以て貴しとなす」という民族性であり、何か対立する意見があっても話し合い、和を以て行動していこうという民族である。神話の世界においても、天の岩戸などで神々は合議してきた。
しかし、今回の反対論は、「反対のための反対」に近く、国論を二分することが目的であったようにも見える。反対論を強く叫んだ人たちの中心には、過去に安倍政権への反対を叫び、対立を煽ってきた人がいる。
このように対立を生み出し世論を分断する手法は、元はコミンテルン(共産主義インターナショナル)が提唱したもので、社会に混乱を引き起こし、革命に繋げるというものである。
極めて高い安倍元総理への評価
私はこのような対立を煽るやり方により世論が二分されるようなことが続けば、日本の民主主義は危機に陥ると思う。何でも「賛成」か「反対」かではなく、「和」を以て行動する穏やかさを取り戻さなくてはならないと考える。
国葬の翌日、私はスリランカ大統領など各国要人と会談した。安倍元総理に対する評価は外交的にも経済的にも極めて高かった。安倍元総理への評価は実際はそうであるのに、国葬に反対する人々の影響により、米国CNNなどでは、「国葬は世論を二分した」というネガティブな部分が伝えられた。
これは安倍元総理の評価を落としかねないものであり、世界の方々からすれば、「日本はこれだけ功績のあった方の国葬にも反対する冷たい民族なのか」との誤ったメッセージにもなってしまう。
要人と会談する中、皆さんが必ず口にし絶賛したのが、安倍総理が提唱した「自由で開かれたインド太平洋戦略」である。これによってアジアと世界の安定と平和がもたらされているという評価で、戦後初めて日本の総理大臣が提唱した外交戦略が世界のスタンダードとなっていることからも分かる。
我々はこうした安倍外交の成果に立脚しながら、強い意志で引き続きリーダーシップを取っていかなくてはならない。もう我々の外交は日本だけのものではなく、アジアのため、世界のためのものになっている。安倍外交をさらに強化し、安倍元総理の功績に報い、世界平和のために尽くしていきたい。