支持率低下が止まらない岸田内閣|和田政宗

支持率低下が止まらない岸田内閣|和田政宗

岸田内閣の支持率低下、何が原因となっているのか。メディアは、旧統一教会問題が足を引っ張っていると言うが、皆様から強く聞く声は、「岸田内閣は実績が見えない」「決断が遅い」というものである――。


50兆円規模の補正予算を組むべき!

萩生田政調会長は先週、党の会合で、「補正予算は昨年を上回る30兆円超は必要」と述べた。私は50兆円規模の補正予算を組んで、新型コロナ禍の影響が続く経済のテコ入れをすべきだと思う。

現在、GDPギャップはマイナス17兆円と、供給に対し需要が不足している。財政出動を行い、需要を喚起することが重要となってくるが、現在、部品や資材が手に入りにくい産業分野で需要喚起を促しても即座に効果は発揮しにくく、効果が出る時期がずれる可能性がある。

もちろんこうした分野への対策も必要であるが、即座に効果が出るものとしては「全国旅行支援」であろう。これは、私が安倍内閣時に国土交通大臣政務官として立案と制度設計にあたった「GoToトラベル」を岸田内閣で改変したものだが、旅行支援は直接、即座に消費として使われるものであり、需要喚起策としての効果が高く、経済全体への波及効果も高い。

実際、「GoToトラベル」が実施されていた期間は、経済の先行きは明るいとの見通しから自動車販売が好調となり、令和2(2020)年の9月の自動車生産台数は、トヨタ、ホンダ、スズキ、スバルが9月として過去最高となり、トヨタは12月まで4か月連続で過去最高となった。

岸田内閣にとっても自民党にとっても正念場

Getty logo

このように「GoToトラベル」は、裾野が広く地域産業の核となっている観光関連産業で消費が行われることによる経済効果と、消費がさらなる消費を生んでいくことにより、日本経済全体に大きな効果をもたらした。

「GoToトラベル」の予算は合計2兆7千億円。旅行代金への50%補助なので、全国で使われる金額は皆様のお財布からの2兆7千億円も含め、5兆4千億円となる。日本の名目GDPは550兆円であるが、その約1%のあたる額が直接的に消費で使われることになり、民間のシンクタンクの試算ではGDPの押上げ効果は3%になるというものもあった。

途中で停止となってしまったので効果はフルに発揮されなかったが、「GoToトラベル」が動いている期間は、景気はV字回復するとの実感が全国各地であった。そして現在、「全国旅行支援」の開始に向けた準備が進められているが、予算は5600億円ほど。これは、「GoToトラベル」の例からすると3か月ほどで使い切ってしまう可能性がある。

その後の観光需要喚起策で使える予算はさらに2700億円あるが、効果を大いに出すためには、GoToトラベルの停止で国庫に返納した4600億円をもう一度旅行支援予算に組み入れるべきであるし、私は合計1兆円規模の予算を新たに獲得し、観光キャンペーンを打つべきであると思う。

国民の期待は、経済の回復とその後に向けた力強い大型経済対策である。これが国民が失望する内容となれば、支持率はさらに下がってしまう。国民の期待に応えられないのであれば、「交代すべき」という声が上がるのは常である。来年春には統一地方選挙を控える。

国民が経済の先行きについて明るいと感じられる大型の補正予算の策定が必須である。岸田内閣にとっても我が党にとっても正念場だ。

関連する投稿


トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

米国大統領選はトランプ氏が圧勝した。米国民は実行力があるのはトランプ氏だと軍配を上げたのである。では、トランプ氏の当選で、我が国はどのような影響を受け、どのような対応を取るべきなのか。


我が党はなぜ大敗したのか|和田政宗

我が党はなぜ大敗したのか|和田政宗

衆院選が終わった。自民党は過半数を割る大敗で191議席となった。公明党も24議席となり連立与党でも215議席、与党系無所属議員を加えても221議席で、過半数の233議席に12議席も及ばなかった――。


衆院解散、総選挙での鍵は「アベノミクス」の継承|和田政宗

衆院解散、総選挙での鍵は「アベノミクス」の継承|和田政宗

「石破首相は総裁選やこれまで言ってきたことを翻した」と批判する声もあるなか、本日9日に衆院が解散された。自民党は総選挙で何を訴えるべきなのか。「アベノミクス」の完成こそが経済発展への正しい道である――。


石破新総裁がなぜ党員票で強かったのか|和田政宗

石破新総裁がなぜ党員票で強かったのか|和田政宗

9月27日、自民党新総裁に石破茂元幹事長が選出された。決選投票で高市早苗氏はなぜ逆転されたのか。小泉進次郎氏はなぜ党員票で「惨敗」したのか。石破新総裁〝誕生〟の舞台裏から、今後の展望までを記す。


新総理総裁が直ちにすべきこと|島田洋一

新総理総裁が直ちにすべきこと|島田洋一

とるべき財政政策とエネルギー政策を、アメリカの動きを参照しつつ検討する。自民党総裁候補者たちは「世界の潮流」を本当に理解しているのだろうか?


最新の投稿


【今週のサンモニ】反原発メディアが権力の暴走を後押しする|藤原かずえ

【今週のサンモニ】反原発メディアが権力の暴走を後押しする|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【読書亡羊】「時代の割を食った世代」の実像とは  近藤絢子『就職氷河期世代』(中公新書)

【読書亡羊】「時代の割を食った世代」の実像とは  近藤絢子『就職氷河期世代』(中公新書)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【今週のサンモニ】臆面もなく反トランプ報道を展開|藤原かずえ

【今週のサンモニ】臆面もなく反トランプ報道を展開|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

米国大統領選はトランプ氏が圧勝した。米国民は実行力があるのはトランプ氏だと軍配を上げたのである。では、トランプ氏の当選で、我が国はどのような影響を受け、どのような対応を取るべきなのか。


【今週のサンモニ】『サンモニ』は最も化石賞に相応しい|藤原かずえ

【今週のサンモニ】『サンモニ』は最も化石賞に相応しい|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。