【読書亡羊】「安倍を鳥葬にしろ」と蔑んだ町山智浩さんにおすすめの一冊 ジュリエット・カズ著、吉田良子訳『葬儀!』(柏書房)

【読書亡羊】「安倍を鳥葬にしろ」と蔑んだ町山智浩さんにおすすめの一冊 ジュリエット・カズ著、吉田良子訳『葬儀!』(柏書房)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!


「日本の弔い方」を見せてやれ

日本では近年、葬式の簡素化や墓じまいなどが話題になり続けてきた。「死んだらおしまいなのだから、旅立ちの儀式である葬式や、その後の墓にお金や神経を使う必要はない」ということなのだろう。

「金がもったいない」というデフレマインドもある。かつてのように、「死者が悲しむ」とか「怨念となる」というような、畏れの気持ちも消失しつつあり、お盆という習慣も単に「大型連休」程度の扱いになっている。

これも近代化・現代化の一つの現象だと言われればそうなのかもしれないが、本書を読むと、盛大に死者をあの世に送り出したり、年に一度戻ってくる魂を温かく迎えたりする宗教や習俗がある方が、「安心して死ねる」ようにも思う。

もちろん安倍元総理の「葬儀」はすでに家族葬の形で終了しているので、国葬がどんな形であろうとご本人の魂の行く先にはあまり関係がなさそうだ。しかし世界から弔問客が来るのなら、ある程度のコストがかかっても「日本の弔いというのはこういう形なのだ」というものを見せてもいいように思う。

それでも宗教色を排すというなら、いっそ、日本の技術力・テクノロジー面を強調し、「ホログラム安倍晋三」を出現させ、参列者を出迎えたらどうかとさえ思うのだ。

梶原麻衣子 | Hanadaプラス

https://hanada-plus.jp/articles/712/

ライター・編集者。1980年埼玉県生まれ。月刊『WiLL』、月刊『Hanada』編集部を経てフリー。雑誌、ウェブでインタビュー記事などの取材・執筆のほか、書籍の編集・構成などを手掛ける。

関連する投稿


【読書亡羊】安倍晋三はこうして歴史になっていく  服部龍二『安倍晋三』(中公新書)|梶原麻衣子

【読書亡羊】安倍晋三はこうして歴史になっていく 服部龍二『安倍晋三』(中公新書)|梶原麻衣子

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【読書亡羊】アメリカ・イスラエルの対イラン戦争で習近平がほくそ笑む理由  佐藤雅哉『アメリカはなぜイスラエルを支援するのか』(名古屋大学出版会)|梶原麻衣子

【読書亡羊】アメリカ・イスラエルの対イラン戦争で習近平がほくそ笑む理由 佐藤雅哉『アメリカはなぜイスラエルを支援するのか』(名古屋大学出版会)|梶原麻衣子

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【読書亡羊】極右政党を無害化するたった一つの冴えたやり方  ユストゥス・ベンダー著『なぜAfDは支持されるのか』(同時代社)|梶原麻衣子

【読書亡羊】極右政党を無害化するたった一つの冴えたやり方 ユストゥス・ベンダー著『なぜAfDは支持されるのか』(同時代社)|梶原麻衣子

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【読書亡羊】地政学は戦争ための学問なのか  マルク・セモ著『地政学講座』(原書房)|梶原麻衣子

【読書亡羊】地政学は戦争ための学問なのか マルク・セモ著『地政学講座』(原書房)|梶原麻衣子

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【読書亡羊】「トランプのせいで風呂に入れない時代」に必要な「地経学」スキル  国際文化会館 地経学研究所編『はじめての地経学』(朝日新書)|梶原麻衣子

【読書亡羊】「トランプのせいで風呂に入れない時代」に必要な「地経学」スキル 国際文化会館 地経学研究所編『はじめての地経学』(朝日新書)|梶原麻衣子

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


最新の投稿


 パパ猫に連れてこられた「子猫」を拾った話|瀬戸内みなみ

パパ猫に連れてこられた「子猫」を拾った話|瀬戸内みなみ

瀬戸内みなみの「猫は友だち」第9回


【今週のサンモニ】モリカケ疑惑の10年前から全く進歩なし|藤原かずえ

【今週のサンモニ】モリカケ疑惑の10年前から全く進歩なし|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


学者も証明不可能な「心霊体験」|なべやかん

学者も証明不可能な「心霊体験」|なべやかん

大人気連載「なべやかん遺産」がシン・シリーズ突入! 芸能界屈指のコレクターであり、都市伝説、オカルト、スピリチュアルな話題が大好きな芸人・なべやかんが蒐集した選りすぐりの「怪」な話を紹介!信じるか信じないかは、あなた次第!



【読書亡羊】安倍晋三はこうして歴史になっていく  服部龍二『安倍晋三』(中公新書)|梶原麻衣子

【読書亡羊】安倍晋三はこうして歴史になっていく 服部龍二『安倍晋三』(中公新書)|梶原麻衣子

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!