日本共産党「選挙活動」の舞台裏|松崎いたる

日本共産党「選挙活動」の舞台裏|松崎いたる

「SNSの活用なくして選挙勝利なし」―党員の平均年齢が70歳以上、スマホをもたない党員に対してもこう檄を飛ばし、党勢拡大のためなら個人情報の利用も厭わない。我が子を児童虐待する女を候補者に据えるなど“やりたい放題”の選挙活動。『日本共産党 暗黒の百年史』の著者で元共産党員の松崎いたる氏による「こんなに変だよ日本共産党」第3弾!


『手引き』に掲載された「主なSNSの種類と特徴」をみると、たとえばこんな説明がある。

「●LINE(ライン)・国内利用者数 9200万人。・支持拡大や『折り入って作戦』で使うと効果的。・日本で利用者数が最も多く、全世代が利用し、現在では、文章の送受信だけでなく、音声通話やビデオ通話も可能。多くの人が連絡・コミュニケーションの手段として活用。家族や職場、学校のクラス、地元、趣味仲間との連絡など、つながっている人の結びつきが強い」。

「折り入って作戦」とは共産党独自の用語で、党員がつながりのある人物に対して「じつは折り入ってお願いがあるのですが……」と話を切りだし、共産党への支持をお願いする行動のことだ。

共産党員には、自分が党員であることを、親しい友人・知人にも告げていない者も多い。これまでの選挙では、自分の名前を名乗らず「共産党〇〇事務所ですが……」と電話をかけることが多かった。しかし、匿名では昔も今も票には結びつきにくかった。そこで個人同士のつながりを効果的に支持拡大に生かせるようにしたのが「折り入って作戦」である。しかし同時にそれは、党員たちに「自分の正体を世間にさらせ」という党中央の上からの命令でもある。共産党員であることを告白したことをきっかけに友人が遠のいていくことも覚悟しなければならない。

党外の一般の人から見てもビックリするようなことが起きるかもしれない。自分のLINE友だちの中に、共産党員がいた場合、ある日突然「折り入ってお願いがあります」などと共産党への支持依頼のメッセージが送られてくることになるからだ。電話での支持依頼ならガチャンと電話を切れば済む話だが、付き合いのある者からのLINEでは既読スルーもしづらいだろう。

個人情報を党勢拡大に流用

Getty logo

LINEかどうかは不明だが、共産党員が個人情報を党勢拡大に流用していたことが問題になっている。

昨年10月21日、ローカル紙「神奈川新聞」が「横浜の集会参加者4人の個人情報 共産党関係者が不正流用」と報じている。

記事によると「横浜市内の小学校の統廃合を考える集会に参加した保護者や地域住民の個人情報を、共産党の関係者が不正流用していた」という。

会場で新型コロナウイルス感染者が出た場合に連絡が取れるよう、参加者全員に氏名、電話番号、住所を記載してもらっていたが、その4人の個人情報を、集会の主催者メンバーでもある共産党員が書き写し、別の党員がこのメモを元に4人の自宅を訪問、集会の記事を掲載した党機関紙「しんぶん赤旗」を手渡した。これも「折り入って作戦」なのである。

主催団体は当該党員を退会させた上、個人情報保護法に抵触する可能性があるとして関係者に謝罪している。

集会に参加し、訪問を受けた男性は「(不正流用され)保護者の間で『怖い』という声が上がっており、今後会合から足が遠のくことを心配している。党のコンプライアンスの問題で調査と再発防止策を求めたい」と話している。

この不正についての日本共産党神奈川県委員会からのコメントは発表されていないが、『手引き』には「『個人情報』の取り扱いについての注意」という記載がある。そこでは「政党は、報道機関や学術研究、宗教活動などともに『個人情報保護法』の適用除外となってはいます」と前置きされた上で、「(個人情報の)取り扱いや管理には十分注意を払う必要があります。署名運動などで得た『名簿』を本人の了承を得ないで選挙活動に使用したり、第三者に提供することなどがないようにしなければなりません」という。

だが政党のすることは「違法ではない」と前置きされた注意ではどれだけ効き目があるだろうか? 横浜の事例は、手に入れた名簿はなんでも選挙や党勢拡大に使えという「折り入って作戦」の本質を示している。

児童虐待の女を候補者に

関連する投稿


憲法改正の国会発議はいつでもできる、岸田総理ご決断を!|和田政宗

憲法改正の国会発議はいつでもできる、岸田総理ご決断を!|和田政宗

すでに衆院の憲法審査会では4党1会派の計5会派が、いま行うべき憲法改正の内容について一致している。現在いつでも具体的な条文作業に入れる状況であり、岸田総理が決断すれば一気に進む。


自衛隊員靖国参拝で防衛省内に共産党の内通者|松崎いたる

自衛隊員靖国参拝で防衛省内に共産党の内通者|松崎いたる

自衛隊員の靖国参拝の情報を赤旗と毎日新聞にリークした者を突き止めようとする防衛省と、防衛省内にいる内通者を守ろうとする共産党――事の本質は安全保障に直結する深刻な問題だった。


台湾総統選 頼清徳氏の勝利と序章でしかない中国の世論工作|和田政宗

台湾総統選 頼清徳氏の勝利と序章でしかない中国の世論工作|和田政宗

中国は民進党政権を継続させないよう様々な世論工作活動を行った。結果は頼清徳氏の勝利、中国の世論工作は逆効果であったと言える。しかし、中国は今回の工作結果を分析し、必ず次に繋げてくる――。


台湾救助隊を「日本政府が拒否」はまったくの誤情報|和田政宗

台湾救助隊を「日本政府が拒否」はまったくの誤情報|和田政宗

偽の救助依頼情報がSNSで発信され、救助が混乱するという事態が起きた。また、政府の初動対応についても「遅かった」などと事実に基づかない発信が続いている――。被災地の救援支援に対し、事実に基づかない批判をするのは、被災された方のためではなく、自らのイデオロギーや主張のために利用していると見られてもおかしくない。


今こそ、旧宮家の男系男子の皇籍復帰を!|和田政宗

今こそ、旧宮家の男系男子の皇籍復帰を!|和田政宗

皇室は我が国の根幹であり、我が国の歴史そのものである。日本共産党の志位委員長はかつて、「多様な性を持つ人びとが天皇になることも認められるべきだ」と述べたが、これは皇統の破壊である。こうした論を無意味にするために今やるべきこととはなにか。


最新の投稿


【シリーズ国民健康保険料①】とにかく誰もが困っている「国民健康保険料」|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料①】とにかく誰もが困っている「国民健康保険料」|笹井恵里子

突然、月8万円に……払いたくても払えない健康保険料の実態の一部を、ジャーナリスト・笹井恵里子さんの新著『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より、三回に分けて紹介。


【シリーズ国民健康保険料②】あまりに重すぎる負担…容赦のない差し押さえも|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料②】あまりに重すぎる負担…容赦のない差し押さえも|笹井恵里子

税金の滞納が続いた場合、役所が徴収のために財産を差し押さえる場合がある。だが近年、悪質な差し押さえ行為が相次いでいるという(笹井恵里子『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より)。


【シリーズ国民健康保険料③】“年収の壁”を見直すと国民保険料はどうなるの…?|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料③】“年収の壁”を見直すと国民保険料はどうなるの…?|笹井恵里子

いまもっぱら話題の「103万円、106万円、130万円の壁」とは何か。そしてそれは国民健康保険料にどう影響するのか(笹井恵里子『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より)。


【今週のサンモニ】重篤な原子力アレルギー|藤原かずえ

【今週のサンモニ】重篤な原子力アレルギー|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【読書亡羊】激震の朝鮮半島に学ぶ食と愛国心  キム・ミンジュ『北朝鮮に出勤します』(新泉者)、キム・ヤンヒ『北朝鮮の食卓』(原書房)

【読書亡羊】激震の朝鮮半島に学ぶ食と愛国心 キム・ミンジュ『北朝鮮に出勤します』(新泉者)、キム・ヤンヒ『北朝鮮の食卓』(原書房)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!