ウクライナの人々への感謝と尊敬
日本にとって最後のチャンスかもしれない――そんな思いでウクライナ情勢を見つめている。幾許かの寄付と応援の発信ぐらいしかできないが、私はウクライナの人々への感謝と尊敬の気持ちで一杯だ。
2月24日に始まったロシアによる侵略で、当初、総崩れになるかと思われたウクライナ。しかし、ゼレンスキー大統領の二つの決断が状況を一変させた。
1つは、命を捨てて「キーフに残る」ことであり、もう1つは、その上で「18歳以上60歳以下」の男たちに出国を禁じる総動員令を発するのを決断したことである。
2つの決断で、ウクライナ人は固まった。祖国のため、自由と尊厳のため、ウクライナを守り抜くことで国民もまた立ち上がったのだ。「中立化」と「非ナチ化」「非武装化」というあり得ない要求を掲げて一方的に侵略を開始したロシア軍。
要求を呑めば、ウクライナという国は消え去り、抵抗する人間は虐殺・拷問の上に民族浄化されていくだろう。ウクライナ人はそのことを知っている。これまで何度も経験した、「命」を何とも思わないロシアの本性が忘れられないのだ。
そして凄まじいウクライナ人の闘志は、ロシアが予想もしなかった激戦を各地に呼び込んだ。侵略開始から3日間の動きは、世界の歴史に特筆される。2日で首都・キーフを攻略し、戦争終結を目論んでいたプーチン大統領の計画は完全に破綻。逆に自由主義陣営はこの3日間で息を吹き返した。
ポイントは、プーチンが当てにしていたドイツにある。激しいロシア批判のデモはドイツでも変わらず、その熱気と正義感はショルツ政権を追い詰めた。ロシア金融機関のSWIFTからの排除は、予想通りドイツの反対で暗礁に乗り上げた。
これを適用されたらルーブルは暴落し、国債は紙切れになり、ロシア経済は崩壊する。だからこそ、プーチンにとってドイツが頼りだった。