ロシアによる「虐殺」の歴史と行動の遅い日本政府|和田政宗

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昭和20年8月8日、ソ連は日ソ中立条約を一方的に破棄し、満州や日本領土への侵略を始めた。8月14日には満州・葛根廟において、避難中の女性、子供ら千数百人が、白旗を掲げたにもかかわらず、ソ連軍によって機関銃で攻撃され、戦車でひき殺された――。日本はウクライナの苦しみが分かる国であるのに、なぜ率先して行動しないのか。


ロシアの拒否権を封じろ!

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ロシア軍はウクライナの首都キーウ周辺から撤退したが、東部を中心に激しい攻撃が行われている。まず、ウクライナ東部、南部を侵略して押さえるというロシアの戦略は変わっていない。東部と南部に注力するためキーウ周辺からはいったん撤兵したとの見方もでき、東部、南部を侵略し制圧すれば、再びキーウへの攻撃が始まる危険性は排除できない。

東部地域では、ウクライナ政府が呼び掛けているように、いま避難しなければ命の危機というひっ迫した状況になっている。8日には、東部ドネツク州のクラマトルスクで駅がミサイル攻撃を受け、50人以上が亡くなった。駅には避難民4000人がいた。完全に民間人を狙った戦争犯罪であり、ソ連が満州で行ったことと同様である。こうした暴虐と悲惨な状況を止めるためにも日本外交が力を発揮しなくてはならないのである。

日本は何をすべきか。何ができるのか。

私は繰り返し述べてきたが、ドイツなどと連携し、国連改革を行うべきであると考える。国連憲章の改正や安保理改革は、ロシアを含む安保理常任理事国が拒否をすれば行うことはできない。であるならば、現行の国連憲章で出来ることによって、ロシアの拒否権を封じるべきだ。

国連総会に補助機関を作ることが可能であることなどを活用し、安保理の枠組みを使わずに平和を守るための措置と行動を国連が出来るようにすべきである。そして、この枠組みを使ってロシアを国際社会から孤立させ、強い措置により侵略をやめさせるのだ。世界の平和維持のために機能していない、第二次大戦後の戦勝国からなる枠組みを作り変えるのである。

これは、日本だからこそ取れる行動である。率先して平和を守るために行動することは、国民からも国際社会からも必ず支持される。

月刊『Hanada』2022年5月号

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