もう議論の入口の段階は過ぎた
よく非武装国として例示されるコスタリカやパナマは、いざという時にどのように国を守るか憲法に明記されている。コスタリカ憲法には「国防のため軍隊を組織できる」とあるし、パナマ憲法には「全てのパナマ人は、国家の独立および国の領土を守るために武器を取ることが求められる」とある。
これに対し、他国の領土を掠め取ろうとしたり、攻撃したいと考える国からすれば、反撃できるかどうかすらわからない憲法を持つ国は、攻撃するのにどれだけ楽か。これでは、国土と国民を守れない。
であるならば、速やかに憲法を改正すべきであるが、戦後80年が迫ろうとする現在にあっても憲法改正は実現できていない。
岸田政権が発足し、自民党の「憲法改正推進本部」は名称が「憲法改正実現本部」となった。そして岸田総理は、今月17日の国会での施政方針演説で、「国民的議論を喚起するには、われわれ国会議員が国会の内外で議論を積み重ね、発信していくことが必要だ」と述べた。
国会内外での議論を積み重ねることは重要である。しかし、もう議論の入口の段階は過ぎたのではないか。
自民党がいかに覚悟を持って決断するか
自民党は、すでに4年前に憲法改正の条文イメージ(たたき台素案)を発表している。国会の憲法審査会において、憲法改正が必要と考える各党が具体的な条文案を提示し議論すべきではないか。これは当然、第一党である自民党が引っ張るべきであり、自民党がいかに覚悟を持って決断するかである。
憲法改正の発議の提案、すなわち改正条文案の提出は、憲法審査会が行う提出のほかに、実は国会法において、1人の提出者に対し、衆議院で100人以上の賛成または参議院で50人以上の賛成があれば、国会に提出できる。
憲法改正原案を提出すれば、国会の審議に正式にかけられるわけであり、採決が行われ発議されれば、国民投票となる。自民党は憲法改正原案の提出に必要な議員数はいるわけであり、自民党がどう行動するかに全てがかかっているのである。
中国の覇権的行動などを考えれば、猶予はない。岸田政権は「憲法改正実現本部」の名の通り、今夏の参院選では憲法改正を前面に掲げ、勝ち抜かなくてはならない。「国民的議論の喚起」も我々自民党がいかに行動するかである。
そして、憲法改正の先には、北朝鮮による拉致被害者の奪還、さらには対等な日米同盟へと変えていく。戦後100年を迎えるのは令和27年(2045年)。確実に戦後レジームから脱却し、戦後が終わり、誇りある輝く日本となっているようにしたい。