戦後レジームからの脱却を
今年は寅年で私は年男。この先12年を含め、政治家として何を成し遂げていくかを改めて考えた。
国会議員になってからずっと取り組んできた不妊治療の保険適用は今年4月から始まる予定だが、もっと大きなテーマについては、政治家として生きるなかでもしかしたら一つしかできないのかもしれない。だからこそ絶対に大きな一つのテーマは確実に実現しなくてはならないと決意した。
では、それは何か。私は憲法改正をはじめとし、真に戦後レジームから脱却した日本の実現と考える。現状はいまだ戦後を脱したとは言えない。
ある友人が昨年こんなことを私に言った。彼は寿司職人として米国に移住し、日本国籍から米国籍になった人物である。
「和田さん、いざとなったら俺は尖閣に移り住むよ」
私が「なぜそんなことを急に言うの?」と聞くと、「俺は米国籍だろ。もし尖閣に住んで中国に攻撃を受けたら米国政府や米軍は絶対に私を守りにくる。日本が守れないなら俺が行く」と答えた。
私は情けない気持ちになった。彼のみならず他の米国の友人も、国を圧倒的に信頼している。世界のどこで戦乱や災害に巻き込まれても、いざという時は国が絶対に自分を守ってくれる、助けてくれるという信頼である。
世界でも珍しい憲法の構造
ひるがえって日本はどうか。世界のどこかで誘拐されたり、戦乱に巻き込まれたりしても絶対に日本政府が救いにきてくれると思う日本人はどれだけいるだろうか。
北朝鮮による拉致被害者の方々はいまだに救出できていない。国際法では、自国民を自衛権を行使し救出することが可能であるが、日本は憲法上の制約があり救出ができない。憲法上、世界のどこかで困難な状況におかれた日本人全てを我が国は救えないのだ。
国家は国土を守り国民を守るためにある。こう述べるときになぜ国土が先にくるかといえば、国民の命を軽視しているわけでは決してなく、国土が存在しなければ「国民」は存在しないからである。我が国はそうした国家の使命を果たせる状況になっていない。憲法が大きな足かせとなっているからだ。
実は、我が国は世界でも珍しい憲法の構造になっている。それは憲法に、いざという時にどのように国を守るかが明記されていない点である。
こうした国は日本のほかに、クック諸島、ニウエ、モナコの3カ国しかない。なお、ニウエは南太平洋の小さな島からなる国で人口1860人、クック諸島も南太平洋の島々からなる国で人口2万人、モナコは人口3万8千人と、いずれも国土は小さく、人口も4万人以下の国である。
一定の国土と人口規模を持つ国で、憲法にいざという時に国を守る手段が記されていないのは日本だけなのだ。