太陽光パネルとウイグル強制労働
日本端子株式会社の主要ビジネスのひとつに太陽光パネル事業が挙げられている。既知のとおり、中国の太陽光パネル製作にはウイグル人が強制労働させられているとされ、国際的な非難が集まっている。
河野太郎氏は自らが日本端子を通じてウイグル人ジェノサイドに関与していないか説明する責任がある。なお、日本端子はこの点について、自社HP上に9月27日付「お知らせ」として以下の記述を載せている。
「太陽電池モジュール向け製品についてのお知らせ:中国市場において弊社及び弊社グループ会社では、太陽電池モジュール向け端子・コネクタの生産及び販売実績は操業時から一切ございません。また、中国市場以外における太陽電池モジュール向け汎用端子・コネクタの製造販売は、2015年8月を以て終了しております」
これは非常にミスリーディングな記述である。日本端子とそのグループ企業が2015年以降も太陽電池モジュール関連事業を行っていることは明白だからだ。
日本端子の会社案内には太陽光発電を利用したスマートハウスの各機能を繋ぐ端子・コネクタを供給し、「未来に続くクリーンエネルギーとして注目を集める太陽光発電システムなど、日本端子はこれからのエネルギー開発に貢献しています」とあるが、このパンフレットには主な沿革として2017年8月に本社を神奈川県平塚市に移転するまでの記録が記載されている。つまり、2015年以降も太陽光発電関連のビジネスを継続しているのである。
また、元警視庁刑事・坂東忠信氏の調査によれば、日本端子の子会社のひとつ、广州日覃贸易有限公司(広州日覃貿易有限公司)を中国サイト「愛企査」で検索したところ、太陽光発電装置及びコンポーネントの販売が経営範囲に入っていることが確認された。日本端子のパンフレットによると、この子会社の設立は2017年5月とある。
以上の問題点に対して、河野太郎氏本人および支援者からは「端子・コネクタは様々な業種に提供しているので、対中政策に影響しない」「80%は自動車向けで、太陽光ビジネスの割合は低い」「中国においても顧客のほとんどは日系企業」などの反論が聞かれる。中国政府との癒着や、人権弾圧への加担を否定しようとしている。
ヒラ議員であっても許されない理由
しかし、そんな甘い議論は通用しない。2021年6月、中国では「反外国制裁法」が成立した。中国政府が「反中行為を行った」と判断した場合、中国にある合弁会社や独資会社、日本にある親会社や経営者、その家族に制裁を行うことが可能になったのだ。
仮に、河野太郎氏が日本国総理大臣になり、中国が嫌がる政策を実行した場合、中国が反外国制裁法を発動し、日本端子の在中子会社や日本端子自体を制裁することが起こりうる。つまり、河野太郎氏は、国益を優先するか、自らも所有する日本端子や在中子会社を護るかの板挟みになり、利益相反が生じるのだ。
仮に顧客のほとんどが日系企業だったとしても同じことだ。中国共産党が支配する企業との合弁が適切であるか、太陽光パネルビジネスを通じて人権弾圧に加担していないか、という疑念に加え、中国大陸でビジネスをする限り、中国共産党に生殺与奪の権を握られているのであり、必然的に利益相反に陥るのである。
これは、河野太郎氏が総裁候補になり得ないヒラ議員であったとしても許されることではない。このような根源的な問題を看過している自民党は猛反省しなければならない。