河野氏は2017年2月に東京で開催された「日米原子力協定と日本のプルトニウム政策国際会議」に反原発団体や立憲民主党議員らと共に出席した。会議では「日米原子力協定自動延長阻止と六ヶ所再処理工場運転開始阻止、それによる原発運転阻止をめざす」との大会宣言が出された。
2017年9月に訪米団が派遣され、日本のプルトニウム蓄積に国際的懸念があると訴えた。それをNHKが同年10月30日の「クローズアップ現代+」で「“プルトニウム大国”日本~世界で広がる懸念~」と題して報道した。米国の有力者の大きな声を利用して日本政府に圧力をかけることを「ワシントン拡声器」と呼び、NHKが報道して当時の安倍政権に圧力をかけた。
当時外相だった河野氏は、何ら指摘されてもいないのに、国際原子力機関(IAEA)に対して、「日本はプルトニウムを減らす」と宣言してしまった。河野氏の父親の洋平氏が官房長官時代の1993年に戦時中の慰安婦問題で出して禍根を残した「河野談話」に匹敵する「第二の河野談話」である。
週刊文春9月9日号に、資源エネルギー庁の官僚に対して再生可能エネルギーの比率上乗せを迫る河野氏の恫喝が報じられた。河野氏が首相になれば、自民党の中枢が反原発派に乗っ取られ、逆らう閣僚や官僚は恫喝されるのではないか。(2021.09.14国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
作成/奈良林直
国基研理事、東京工業大特任教授。1952年、東京都生まれ。東京工業大理工学研究科原子核工学修士課程修了。専門は原子炉工学。東芝に入社し原子力の安全性に関する研究に従事。同社電力・産業システム技術開発センター主幹などを務め、2007年に北海道大大学院教授に就任。同大大学院名誉教授・特任教授を経て現職。