――延々と研究をし続ける研究者たちの情熱は、どこからくるものでしょう?
下山 取材を通して痛感したのは、一冊として読むから20年の研究の過程が全てがっているように見えるけれど、実際はそうではなく、研究者一人ひとりが、一つひとつの作業をひたすら毎日繰り返した結実です。
誰も関心が及ばないような、また説明しても理解してくれなさそうなことを、飽かず毎日やっている。失敗するかもしれない、会社の都合で中止になるかもしれない、ゴールがどこにあるのかもわからない。そういうなかで研究していくのは、大変なことです。その道に進むなら覚悟が必要でしょう。
では、そんな辛い研究でもなぜやるのか。それは名声や野心もあるけれど、やっぱり病気の人を救いたいという思いがあるからだと思います。
――メディア、アルツハイマー病ときて、下ちゃん、次のテーマは?
下山 やるからには大きなテーマに挑みたいと思って、いくつか温めています。ハルバースタムが80年代に日本の自動車産業が米国のそれを逆転した様を『覇者の驕り』で描いたけど、次はそういう大きなシステムの逆転を本にしたいですね。
【著者インタビュー】編集長も三度泣いた! 下山進『アルツハイマー征服』
治療法解明までの人類の長い道全世界で約5000万人の患者とその家族が苦しむ「アルツハイマー病」は、がんと並ぶ治療法が未解決の病。だが研究が進み、現在ついに希望の”光”が見えてきた――発症した患者、その家族、治療薬を開発する研究者たち……いくつものドラマが重なる治療法解明までの長い道のりを描いた、傑作サイエンス・ノンフィクション!
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