19日、フランスのパルリ国防相は仏紙フィガロとのインタビューで、フランス海軍の原子力潜水艦エムロードを南シナ海に潜航させたことを強調した。フランスは仏領ポリネシアやニューカレドニア等を太平洋に保有しており、その排他的経済水域に中国が進出していることに懸念を有している。中国が南シナ海で行っているような国際法違反を野放しにしたら、いずれは太平洋の自国領土にも波及する可能性があることから、今回の原子力潜水艦派遣に踏み切ったものと思われる。20日には九州西方で仏フリゲート艦プレリアルと海自、米海軍が共同訓練を行った。
英空母部隊の東アジア来航時、これにドイツ海軍のみならずフランス海軍も加わったら、英仏独というNATO主要海軍国が揃い踏みすることになり、クアッドとの共同訓練で中国に対しては強烈なメッセージを発することができる。(2021.02.22国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
国基研企画委員兼研究委員。1948年生まれ。1970年防衛大学校卒、米海軍兵学校交換教官、ゆうぐも艦長、スタンフォード大学国際安全保障軍備管理研究所客員研究員、米国防大学卒(国家資源戦略修士取得)、第1・64護衛隊司令、在米日本大使館国防武官、統合幕僚学校長を経て情報本部長(約3年)、ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院博士課程終了(国際関係論博士取得)、2005年定年退官(海将)。防衛大学校教授兼政策研究大学院大学安全保障・国際問題博士課程連携教授、2013年第二の定年退官。現在国家基本問題研究所企画委員。 著書に『同盟国としての米国』など。