ただ、広報を支える研究活動があまりにも弱体だ。文部科学省の予算で賄われる科学研究費(科研費)を使った慰安婦問題の研究はこれまでに47件あったが、「強制連行、性奴隷、20万人」説の間違いを指摘する研究は皆無だ。外務省の外郭団体である日本国際問題研究所は2017年に歴史認識問題などの研究と国際発信のために領土・歴史センターを設置したが、同センターでは慰安婦問題に関する研究や発信を行っていない。
筆者は有志学者らと共に2016年9月、日本国と先人の名誉を守る研究と広報をすることを目的に歴史認識問題研究会という小さな組織を作って活動してきた。韓国でも歴史の真実を研究し反日派と闘う勇気のある良識派が登場してきた。今こそ慰安婦制度の実態に関する国際広報をより強化するための体制作りに皆で知恵を絞るべき時だ。(2021.01.12国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
著者略歴
モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授。1956年、東京生まれ。国際基督教大学卒業。筑波大学大学院地域研究科修了(国際学修士)。韓国・延世大学国際学科留学。82〜84年、外務省専門調査員として在韓日本大使館勤務。90〜02年、月刊『現代コリア』編集長。05年、正論大賞受賞。17年3月末まで、東京基督教大学教授。同4月から、麗澤大学客員教授・モラロジー研究所「歴史研究室」室長。著書に『でっちあげの徴用工問題 』など多数。