Zoomを警戒した台湾の行政院は4月7日、政府サイバーセキュリティ部門(DCS)の決定として政府機関がZoomアプリを使用することを全面的に禁止した。同様に政府レベルでは米国上院、ドイツ外務省、インド政府、オーストラリアでは国防軍と議会の会議でZoomの利用を禁じている。
また、ニューヨーク市やネバダ州クラーク郡の公立学校ではリモート授業でのZoom使用禁止の通達を出しているほか、民間ではロケット・宇宙船の開発で有名なSpaceXやグーグルなども使用を禁止している。
一方、日本では新潟県柏崎市や長野県中野市、長崎県五島市などは「オンライン移住相談会」をZoomを使ってやっており、6月には(公財)全国市町村研修財団が「自治体におけるSNSの活用」とする自治体職員向け研修をZoomを使用して行っている。まるで使用を推薦するかのようで、世界との危機意識は開く一方だ。
TikTokの恐ろしさ
日本で利用が広がる中国SNS大手の北京字節跳動科技(バイトダンス)が運営するTikTokについても、同様の問題がある。
TikTokは短時間の動画を簡単に編集・投稿できるアプリで、2020年5月の全世界モバイルアプリダウンロード数ランキングでZoomをおさえ1位を獲得。累計で20億ダウンロードという化け物のようなアプリ。日本でも若者を中心に人気だが、中国企業バイトダンス社が運営しているれっきとした中国製である。
7月23日、プロトン・テクノロジーズというスイスに本社を置くセキュリティ会社が、TikTokの問題点を自社のHPで詳細に報じている。
TikTokはプライバシーポリシーに明記されている内容としてIPアドレス、閲覧履歴(TikTokで閲覧したコンテンツ)、携帯電話のキャリア、モバイルデバイス(スマートフォンやノートPCなどのモバイル端末)を使用している場合の位置データ(GPS座標およびWiFi基地局)、TikTokへアクセスしたデバイス情報(アンドロイド携帯の場合は、IMEI番号が含まれる。IMEI番号は、個々の携帯電話が識別できるように設定された、いわゆるデバイスの指紋であり、ある電話から別の電話へのユーザーの追跡に使用される)が収集されている。
さらにTikTokのアカウントを開設するためには、電話番号またはメールアドレスと生年月日を入力する必要がある。 アカウントを作成するとTikTokは、ソーシャルメディアアカウント(Twitter、Instagram、Facebookなど)、携帯電話の連絡先リスト、GPSデータへのアクセス許可が求められる。ユーザーがTikTokを使用するとアップロードするすべてのビデオ、動画を見る時間、好きなビデオ、共有する動画、アプリで交換するメッセージに関する情報が収集される。