7月14日、米国連邦政府は、2018年に成立した国防授権法(NDAA)889条に基づく措置として、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)、中興通訊(ZTE)、海能達通信(ハイテラ)、海康威視数字技術(ハイクビジョン)、浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)の5社と取引を行っている企業を、8月13日を以て連邦政府の調達先から排除することを官報に掲載した(2)。
これは、昨年8月13日に施行された、5社と連邦政府との取引を禁止する措置の第2弾である。香港国家安全法(中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法)の施行に対する米国の抗議活動の一環と見る向きもあるが、あくまでも昨年からの既定路線の施策である。
ファーウェイとZTEは、ともに通信機器大手として日本でも知られているが、ハイテラもそれに次ぐ大手無線機メーカーだ。ハイクビジョンとダーファ・テクノロジーは監視カメラメーカーで、その製品の安さから米国や日本でも大量に採用されている。米国連邦政府と取引している日本企業は800社以上とされており、少なからず日本への影響もあるだろう。たとえば、ソニーはハイクビジョンに超高感度イメージセンサーなどを供給している(3)。
完全なるファーウェイ製品排除
中国通信機器排除の動きは米国だけではない。2018年に排除を決めたオーストラリアに続いて7月14日に、英国政府は英国内の5Gネットワークからファーウェイ製品を排除すると発表した。英国国立サイバーセキュリティセンター(NCSC)の最新のアドバイスを受けて決定されたものとされており、2020年12月31日以降、ファーウェイの5G製品は全面的に購入が禁止される。
これにより、英国政府は5Gの展開が2、3年遅れ、最大20億ポンド(約2695億円)のコストがかかるとしているが、「国家安全保障は国民に対する政府の重要な義務であり、これを全ての問題に優先する」(デジタル・文化・メディア・スポーツ相オリバー・ダウデンの声明文《4》)とし、2027年末までに完全にファーウェイ製品を排除する。