クアッドが東京会議で緩やかな戦略的連合で合意できたのは、最近の攻撃的な中国の膨張主義によるものだ。特に北西部で中国軍と対峙するインドは、11月の合同軍事演習「マラバール」に日米とともに豪州にも招待状を出し、史上初の4カ国軍事演習を刻む。
さらに、米国によるソフト・アライアンス構築の取り組みは、10月下旬に訪印するポンペオ国務長官とエスパー国防長官らによって具体的な協議が進む。クアッドが従来の協議体から、東南アジア、欧州の有志国を含む新しい多国間安全保障枠組みに発展するかは、皮肉にも中国膨張主義の攻撃性にかかっている。(2020.10.26 国家基本問題研究所「今週の直言」より)
著者略歴
産経新聞客員論説委員、国家基本問題研究所主任研究員。1948年、東京都生まれ。中央大学法学部卒、プリントン大学公共政策大学院Mid‐Career Fellow program修了。産経新聞入社後に政治部、経済部を経てワシントン特派員、外信部次長、ワシントン支局長、シンガポール支局長、特別記者・論説委員を歴任。2018年6月から現職。著書に『全体主義と闘った男 河合栄治郎』、『中国が支配する世界 パクス・シニカへの未来年表』など多数。