「実子誘拐」を飯のタネにしている悪徳弁護士もなかにはいるかもしれないが、個人的には多くの弁護士はそうではないと信じている。
ただ、語弊があるが、有能な弁護士ほど「実子誘拐」に手を貸している状況になっている。離婚を成立させ、なおかつ子どもを確保したいというお客さんの意向を最大限に尊重しようとすれば、「連れ去り勝ち」が最も有効な手段だからである。
わざわざお客さんの意向に反してまで、法制度を変え、共同親権を導入すべきだとまで考える弁護士は少ない。「実子誘拐ビジネス」で儲けようと最初から目論んでいたわけではないだろうが、これでは結果的に「実子誘拐ビジネス」に手を貸していると批判されても仕方がないだろう。
加えて「女性は弱い」、だから守らなければいけないというドグマが、政治家にも、弁護士にも強い。男性が虐げられている状況が広がっているにもかかわらず、DVは男性がするもの、だから女性を守らなければいけないというストーリーのほうがわかりやすく、結果的に男女共同参画を主張する一部の声の大きい弁護士たちに流されてしまっている。
日本の弁護士が見るのは国内法だが、世界からどう見られているかをもっと考えるべきだ。弁護士自身がこういった発想を転換しなければ被害はますます増えてしまう。まずは、弁護士自身が変わっていくことを期待したい。
それにしても、男女共同参画を推し進める人たちは、共同親権をやらない理由はたくさん述べるのだが、単独親権の下で行われている悲劇にはまったく目を向けない。子どもを連れ去った母親が再婚し、元夫の目の届かないところで、子どもが再婚した男性から虐待を受けるケースは少なくない。この点をどう考えているのだろうか。
裁判官と弁護士が癒着しているというのは一般的には考え難いことだが、月刊『Hanada』5月号の「実子誘拐ビジネスの闇 人権派弁護士らのあくどい手口」を読むと、裁判官が母親側の弁護士事務所に「天下り」をしたという。これは司法の外形的な公平性・中立性を損なっており、禁じ手である。自ら担当した大きな事件の一方当事者の法律事務所に就職するなどいままで聞いたことがない。裁判官の倫理としてあってはならないことだ。
いわゆる「人権派」からの猛攻撃
日本国内の「実子誘拐」があまりメディアで報じられないのはなぜかというと、報じると批判が殺到するからである。皆さんが思っている以上に、すごい。
「実子誘拐」に関する問題を取り上げるメディアもあるが、そのたびに当該メディアが、名誉毀損で訴えるといった脅迫まがいの言説で攻撃に晒されていると聞く。現場の記者が熱い想いで取材をし記事にしても、事なかれ主義のメディアであれば、恐れをなして削除に応じてしまう。それでは物事は前に進まない。
私も、とある著名なNPO法人の代表から執拗な落選運動を展開されたことがある。ツイッターの匿名アカウントによる攻撃も多数受けてきた。
このような男は政治家にしてはいけない、女性の敵だ、DV男の味方だといった趣旨の批判をツイッター等で展開、拡散され、ものすごい被害を被った。子どもの利益に繫がる政策を語ることで、なぜ女性の敵だと罵られなければならないのか。
可哀想なことだが、いま最も攻撃されているのは、この問題を国会で追及している日本維新の会の串田誠一衆議院議員だ。執拗な嫌がらせや落選運動を展開されるくらいなら、彼らが望むような形で「か弱き女性」の権利のために活動していたほうがどれだけ楽かわからない。
しかし政治家である以上、自分のことよりも、救うべき人のために不利を覚悟で論陣を張らなければならない。彼を含め、この問題を取り上げる国会議員はみな、子どもを守るために必死である。