諸悪の根源は「単独親権」|三谷英弘

諸悪の根源は「単独親権」|三谷英弘

元プロ棋士・橋本崇載氏の衝撃の告発によって、「実子誘拐」という言葉をはじめて知った人も多いのではないだろうか。だが、この問題はいまに始まったことではない。「実子誘拐」根絶に向けて長年闘ってきた政治家の一人が、三谷英弘議員である。「女性の敵だ!」「DV男の味方だ!」などと猛攻撃を受けながらも、彼はなぜいまも、闘い続けるのか。月刊『Hanada』2020年7月号に掲載され、大反響を呼んだ記事がついに解禁!


よくある夫婦喧嘩もすべてDV?

2014年、ハーグ条約(国際的な子どもの奪取の民事上の側面に関する条約)に日本も加盟。夫のDVから逃げてきた女性を元の国に戻すのはおかしいといった反対意見も根強くあったが、DVに関しては除外するという項目を国内法に明記したことによって、すべての政党がこの条約に賛成をした。

ハーグ条約の狙いは「連れ去り勝ちを認めない」ということであり、まずは子どもを元の居住国に戻してから裁判をしましょうということなのだが、残念ながら日本では実効性に欠け、現実的に元の居住国に戻すようなことは行われない。

しかも連れ去られたら最後、子どもがどこに住んでいるのかも教えられなければ、子どもに会うチャンスすら認められない。これでは、日本が「子どもの拉致国家」と言われても仕方がないだろう。

DVは絶対に許してはいけないし、DVの被害者を保護することは当然のことだが、問題はこのDVという言葉にある。いまはDVという言葉が独り歩きしているが、DVとはなにか、もっと明確に定義づける必要がある。

たとえば、最近はモラハラがDVと言われることも多い。「きつい言い方をされた」「威圧的な態度を取られた」という理由でDVとして扱われるケースが多々あるが、しかし、本当にそれで良いものだろうか。

ただでさえ、現状においてDVの境界線は曖昧であり、よくある夫婦喧嘩も言い方次第ですべてDVとして認められかねない。夫婦円満でないがゆえに別れるのだから、夫婦間で言い争いが起きるのはむしろ当然だ。第三者の目が行き届かない家庭内においては、あらゆる意味において「DVをしていない」という証明は悪魔の証明以上に困難である。

虚偽のDVなど自分には関係ないと思っている男性も多いが、その被害を受ける可能性がすべての男性に存在することは知っておくべきだ。

さらに、離婚したからといって子どもにもう一方の親と会わせなくていいというのは、親と子の双方にとって極めて残酷である。父親のほうが連れ去るケースもあるが、多くは女性だ。

過去の関係をリセットしたいという女性の気持ちも理解できる。しかし、このままでいいわけはないだろう。「日本では養育費の支払いが少ない、これが問題だ」などと非難される方もいるが、実際のところは、離婚をすれば縁が切れる、相手の顔も見なくて済む、だから養育費も求めない、というケースは極めて多い。

言い換えると、相手の権利をすべて奪える現状の単独親権の制度では、子どもは私が育てるからあなたは一切かかわらないでほしいということになる。だが、そこにはあまりに子どもの視点が欠けていやしないだろうか。

共同親権に変わればどうなるのかといえば、いまと違って、離婚しても相手との関係は切れない。切れないことを前提に、ではどうすればうまく子育てをしていくことができるのか、このような発想に立てば、そもそも養育費が要求すらされないという問題は解消していくことになる。原則を変えれば、子育ての仕方も変わるのである。

共同親権に反対する面々

日本で共同親権の導入に向けた議論は進んでいるのか、いないのか。
残念ながら、ほとんど進んでいない。

どこの党が賛成で、どこの党が反対か。そのような状況ではなく、党内で意見が分かれているというのが現状だ。

では、誰が反対をしているのか。
多くは女性議員である(もちろん、賛成してくれる女性議員もいるが)。

「か弱い女性は守らなければならない」
それ自体を否定するつもりはないが、女性やその支援者からの訴えだけに耳を傾け、他方からの話を聞かないまま「男はひどい」という見方に偏り反対されてしまうと、制度としての議論がなかなか深まらない。

加えて、議員立法では各党、各会派で賛成を得なければならないので、なかなか事が進まないというのが現状である。逆に、立憲民主党であっても賛成する議員は少なからずいるので、イデオロギーの壁は思った以上に高くない。

過去には紆余曲折がありながらも、「親子断絶防止法案」については様々な政党に所属する議員が努力を重ねて各党賛成になった。しかし残念ながら、民主党が解党したことによって各党の議論がゼロベースに戻ってしまったという苦い過去もある。いくら話がまとまっても、野党がバラバラになる、つまり党の名前が変わるたびに議論はゼロに戻ってしまう。

ちなみに、共同親権の導入に対しては、日弁連、特にそのなかでも男女共同参画を推進する弁護士グループが大反対をしている。彼らは、男女共同というよりも女性の権利ばかりを主張しているという印象が強い。

実は、世のなかには男性だけではなく、子どもを奪われた女性も少なからずいる。でも彼らはなぜか、その女性たちにはシンパシーを示さない。男性が悪い、女性を守るためには単独親権しかない、といった不毛な論を展開している。

連れ去り勝ちを生む土壌

関連する投稿


【動画】月刊『Hanada』最新6月号の読みどころ|花田紀凱×和田憲治

【動画】月刊『Hanada』最新6月号の読みどころ|花田紀凱×和田憲治

興味のある記事から読んでほしい!「“コムロ禍”という皇室の重大危機」(櫻井よしこ×竹田恒泰 )、「 絶対に治らない中国共産党の病理」(櫻井よしこ×有本香)、「小池百合子都知事のコロナ暗愚都政」(上田令子)、「“実子誘拐”は犯罪だ」(橋本崇載)、「朝日がつくった福島"汚染水"の風評」(藤原かずえ)など、花田編集長が「最新号の読みどころ」を解説!


月刊『Hanada』2021年6月鈴蘭号

月刊『Hanada』2021年6月鈴蘭号

「人権」という旗を高らかに掲げる人たちほど、中国による人権弾圧にダンマリなのはなぜなのか。総力大特集「習近平の犯罪」、公明党の闇、中国製EVの幻想、半年目の菅政権、小池百合子のコロナ暗愚都政、朝日新聞がつくった福島“汚染水”風評など大手メディアが報じない記事が6月号も満載!爆笑問題をはじめとする豪華連載陣、グラビア特集「不死"蝶"池江璃花子」など6月号も永久保存版!


「2021年6月号」新聞広告大公開!

「2021年6月号」新聞広告大公開!

習近平の犯罪には「根拠がない」と口を閉ざし、新型コロナや原発処理水には根拠もなく「怖い、怖い」と煽り続ける大手メディア。彼らの目的は何なのか。「習近平の犯罪」「コムロ禍という皇室の危機」「半年目の菅政権」「福島原発事故の真実」「小池百合子のコロナ暗愚都政」「実子誘拐ビジネスの闇」など、6月号も大手メディアが報じない記事が満載!広告がおもしろければ、雑誌もおもしろい!雑誌がおもしろければ、広告もおもしろい!いま読みたい記事が、ここにはある!


「実子誘拐ビジネス」の闇 ハーグ条約を“殺した”人権派弁護士たち|池田良子

「実子誘拐ビジネス」の闇 ハーグ条約を“殺した”人権派弁護士たち|池田良子

「実子誘拐」告発キャンペーン第2弾!なぜ日本は「子どもの拉致国家」と呼ばれているのか。その裏には、ハーグ条約を“殺した”人権派弁護士たちの暗闘があった――。なぜ人権派は共同養育に反対するのか。子どもの権利をどう考えているのか。海外のケースだけではない。国内でも「実子誘拐」は日常的に行われているのだ。実名告発!誰も触れられなかった禁断の扉がついに開かれる!


検察庁法改正反対論に反対|高池勝彦

検察庁法改正反対論に反対|高池勝彦

検察官の人事について、内閣の関与を許さず検察庁独自で決定することになれば、それこそかつていはれた「検察ファッショ」になりかねない。今回の議論は、戦前の統帥権干犯問題との類似性がある。


最新の投稿


We Do Not Need Lawmakers Who Can’t Protest China |Yoshiko Sakurai

We Do Not Need Lawmakers Who Can’t Protest China |Yoshiko Sakurai

Japan must make more efforts than any other country to respect human rights and protect democracy.


中国に抗議できない国会議員はいらない|櫻井よしこ

中国に抗議できない国会議員はいらない|櫻井よしこ

現実は、信じ難い状況にある。5月10日現在、わが国政府は先進7か国(G7)の中で唯一、中国に対して何の制裁もしていない。立法府も立ち上がっていない。わが国の国会には、チベット、ウイグル、南モンゴルの3つの超党派議員連盟が存在する。3議連はジェノサイドに認定された中国政府の人権弾圧に関して抗議の国会決議案を4月末にまとめたが、その内容には落胆するしかない。


易姓革命が繰り返される本当の理由と中国の悲劇|石平

易姓革命が繰り返される本当の理由と中国の悲劇|石平

中国のお家芸「易姓革命」はいかにして生まれたのか。そしてなぜ永遠に終わることがないのか。中国の悲惨な「4000年の病」を徹底解明する。


日本の大学45校が中国「国防七大学」と協定|長尾たかし

日本の大学45校が中国「国防七大学」と協定|長尾たかし

日本の国公私立大学計45校が、中国人民解放軍と関係が深く、軍事関連技術研究を行う国防七大学と大学間交流協定を結んでおり、うち9校は共同研究の実績があるという。懸念される技術流出と軍事転用。スパイ防止法がない日本の危機だ!


【動画】「軍艦島」元端島島民 韓国JTBC報道番組に反論する

【動画】「軍艦島」元端島島民 韓国JTBC報道番組に反論する

韓国JTBCの報道番組で、「軍艦島の真実」が取り上げられました。戦時中、実際に端島で暮らしていたのか議論の的になっているグ・ヨンチョル氏も番組に登場し、私たちの映像を視聴しましたが、島民の主張を「嘘」と一蹴しただけで、投げかけられている彼自身の証言に対する疑問に対し、ほとんど答えることなく従来の主張を繰り返しました。また、番組では、一般財団法人産業遺産国民会議について、職員を盗み撮りし、事実を確認せずに報道、印象操作を行っています。