「一度、売春してみませんか」と曲解
2019年秋学期、柳教授は「発展社会学」を講義。問題となった週の講義は「植民地支配を受けた経験をどのように評価するか」。
講義の中で教授は韓国の歴史教科書は間違っていると指摘、日本による「農地の略奪」「米の収奪」や「徴用工」の誤りなどを説明。当然ながら慰安婦にも触れた。
「慰安婦は売春の一種」「日本軍人に強制連行されたのではなく、就業詐欺にあった」ようなもの、要するに女衒に売り飛ばされただけと、至極最もな話をした。
韓・日の大ベストセラー李栄薫氏編の『反日種族主義』と同様の主張だ。
教授のこの講義に対し、主として女子学生たちから質問が相次いだ。
「慰安婦は強制連行ではないと言うのか」
「いまでも売春産業があるでしょ。江南に行けばたくさんいる。そこの女性は親が売り飛ばしましたか」
「では現在の売春婦と慰安婦は同じだと」
手記を読めばわかるが、執拗な女子学生たちの質問に教授は懇切丁寧に理を説いている。
そんな中で、問題とされた教授の発言が飛び出した。
「知りたいなら、一度してみますか」
柳教授は信じられないなら「一度調査、研究してみますか」と言ったのだ。
ところが、この一問一答がいつの間にか録音されていた。音声ファイルが正義記憶連帯(旧・挺対協)に持ち込まれ、柳教授を名誉毀損で訴え、韓国メディアはいっせいに柳教授批判を展開した。
「一度、調査してみませんか」という教授の発言を「一度、売春してみませんか」と言ったと故意に曲解して。
常識で考えてみればわかる。教授がそんな発言をするハズがないし、一度、売春したからといって、慰安婦の実態がわかるハズもない。素直に取れば柳教授の発言は、「調査研究してみませんか」と言ったということは明々白々だ。
正義連はいざ知らず、韓国のメディア人はその程度の理解力もないのか。
SBSといえば韓国の有力な放送メディア。それが一方的に正義連側の言い分に乗って、月刊『Hanada』を大批判。
「極右思想家」「極右雑誌」とは片腹痛い。
(7月23日夕刊フジ「天下の暴論」より)