〈疫学調査の提案〉
岡田晴恵氏:たとえば、横浜なら横浜で全数調査をやってほしい。そうすると、市中感染率と臨床症状もある程度わかってくる。やるべき、と私は学者として思う。
大谷義夫氏:全く賛成だ(2月27日)。
【注釈】PCR検査の目的と限界を理解していないとしか考えられない発言です。罹患率が極めて低いなかで全数調査を行えば、陽性と判定された被検者のほとんどを偽陽性の被検者が占めることになり、何の知見も得られずに莫大なコストと時間を無駄にすることは自明です。
〈感染研悪玉論〉
岡田晴恵氏:中枢にある政治家の方からも電話がかかってくる。それは抗いがたいほど大きな巨大な力と思っていた。「これはテリトリー争いなんだ。このデータは凄く貴重なんだ。『このデータを感染研が自分で持っていたいと言った』と言う感染研OBがいる」と(2月28日)。
【注釈】PCR検査を邪魔しているのは感染研である、という陰謀論を番組中にいきなり語り始めた岡田氏ですが、感染研の所長がすぐに反論して全否定しました。岡田氏はその後、この件について一切触れていません。テレビ朝日のコンプライアンスはどうなっているのでしょうか?
〈コロナ疎開〉
ナレーション:昨日から全国で始まった一斉休校、ネット上である言葉が話題になっています。それが「コロナ疎開」「コロナの影響で娘を実家に疎開させています」(3月3日)。
【注釈】インターネットサイト「ねとらぼ」がSNS分析ツールを使用して解析した結果、放送前日まで「コロナ疎開」という言葉はほとんど使用されていなかったことが判明しました。ほとんど使用されていないのに「話題になっています」というのは、明らかに捏造です。番組からの説明はありません。
〈アベの陰謀〉
羽鳥慎一氏:安倍総理が特措法改正にこだわる理由について、政治アナリストの伊藤惇夫さんが、「後手後手」という批判を払拭するために総理主導で進んでいるとアピールしたいから法改正なんじゃないか、という背景があるんじゃないかということです(3月5日)。
【注釈】内閣官房国際感染症対策調整室は、この発言の内容に対して翌日、全面否定しました。そもそも、何の根拠もない個人の憶測をこのような形で報じることは、情報番組として極めて不誠実です。
〈PCR検査〉
玉川徹氏:我々の番組も全員検査しろという話をしているのではなく、感染が疑わしい人は全員検査できるような態勢を作るべきだ、とずっと言っている。そこを勘違いしている人も結構いる(3月9日)。
【注釈】少なくとも最初は、玉川氏は「希望者全員」と言い、岡田氏は「全数調査」と言いました。噓をつかないで下さい。
国民を舐めるのもいい加減にしてください
〈専門家を選ぶ?〉
玉川徹氏:軽症肺炎を早く見つけて対処することがいかに大事かは、専門家会議でも認めたことだ。番組によっては、そうでない主張の番組もある。
それは結局、そういう専門家の方は「私見を述べて下さい」と言われて招かれてしゃべるわけだから、当然そういうような話をされるわけで、番組がどういう専門家を選んでいるかも問われる時代になるだろう。上昌広先生は、軽症の段階から治療を始めるのが重要だと言っていた(3月11日)。
【注釈】そもそも多様な意見を紹介すべきテレビ番組が、反対意見を持つ多くの専門家を一切出演させずに、自らの主張に合致する専門家ばかりを選んで政治的主張を行ったことは言語道断であり、完全なる放送法違反です。
公共の電波を使って何様のつもりなのでしょうか。自分たちがどんなに矛盾に溢れた放送をしているのか、きちんと検証して下さい。国民を舐めるのもいい加減にしてください。
〈PCR検査の議論は終わった話〉
玉川徹氏:やらなければいけないことは決まっていて、医療崩壊を起こさないことが一番大事なことだ。PCR検査をしたほうがいいかどうかは終わった話だ(3月16日)。
【注釈】この日、突然に玉川氏は、PCR検査の議論は終わった話と言い出しました。日本社会に医療崩壊を起こしかねないこの番組の暴走を、おそらくテレビ朝日が止めたものと考えられます。
散々、反論を許さずにPCR検査を神格化し、ウイルスと必死に戦っている日本社会および日本政府を混乱させたこの番組の罪は極めて大きいと考えます。日本国民はこの欺瞞に怒るべきです。
(初出:月刊『Hanada』2020年5月号)