「桜を見る会」をめぐる“集団リンチ”野党合同ヒアリング|坂井広志

「桜を見る会」をめぐる“集団リンチ”野党合同ヒアリング|坂井広志

年が明けても、サクラ、サクラ、サクラ。そんな野党に対して、「桜はもう散った。早くこの問題から次の建設的な議論に移していかないといけない」と苦言を呈した二階幹事長。多くの国民もそう思っているのではないだろうか。野党の「おもちゃ」になっている「野党合同ヒアリング」とはいったいなんなのか。官僚を吊るし上げる「愚劣な政治ショー」の核心に迫る!


重箱の隅をつつくような詳細な事実関係やデータの開示を「神は細部に宿る」といわんばかりに求めるため、合同ヒアリングで官僚を追及する議員たちは「庶務係」「会計係」と呼ばれているそうです。
 
10月2日に行われたのは、「財務省『森友文書』改ざん問題 野党合同ヒアリング」です。

学校法人「森友学園」への国有地売却や財務省による関連文書改竄をめぐる問題を、まだ追及しているとは驚くばかりです。

この日、野党は財務官僚らに対し、6月に総務省の情報公開・個人情報保護審査会が、財務省の不開示決定を「違法で取り消すべきだ」と答申した同省の行政文書について、執拗に開示請求しました。

文書は佐川宣寿元国税庁長官の想定問答集や、近畿財務局と国土交通省大阪航空局とのやりとりに関する行政文書です。開示請求したのは、先ほどの関電疑惑のヒアリングで存在感を発揮していた川内氏です。

2018年6月に開示請求したのですが、同8月、財務省が不開示決定をしたため、川内氏は行政不服審査法に基づき、不服申し立てをしたという経緯です。
 
もちろん、この日の合同ヒアリングの場に川内氏はいます。なんのことはありません。「マッチポンプ」というわけです。
 
開示請求に対し、「文書は大量でして……」 「答申を受けてどういう対応をするか検討しています」と言質を与えない官僚たち。

国民民主党の森裕子参院議員は「大量というのはどれくらいなんですか」 「いつまでにできるんですか」と矢継ぎ早に質問し、のらりくらりとかわす官僚に「好きでやってるわけじゃないんだよね、庶務係、会計係」とついにぶち切れてしまいました。
 
森氏は、10月24日に行われた「国家戦略特区利権隠ぺい疑惑 野党合同ヒアリング」でも意気軒昂でした。扱ったテーマは、森氏が同月15日の参院予算委員会に向け、同月11日に提出した質問通告が外部に「漏洩」したとされる問題についてです。
 
政府の国家戦略特区ワーキンググループ座長代理の原英史氏の参院予算委への参考人招致要求をめぐり、内閣府の担当者らに「訳の分からないことを言わないでください」 「ごまかさないでください」と詰問していたのが印象的でした。

原口氏に至っては、「参院の与野党の信頼関係を壊すことをあなたは言っている」 「国対(国会対策委員会)レベルで問題にします。国対できっちりけじめをつけさせてもらう」などと言い放っていました。

野党議員による官僚へのパワハラ

「桜を見る会」野党追及本部が23回目のヒアリング(2020年1月16日)

こんなことを言われた役人はどう思うでしょうか。政治家の手によって自分たちが裁かれるのではないか、という恐怖心を抱いたのではないでしょうか。

力関係で明らかに官僚より上の政治家が、こうしたことを言うのはいけません。これをパワハラと言わずして何と言いましょう。

他の出席者からは「ウソは聞き飽きたよ」という言葉も飛び出すなど、役人に対し憎悪が滲み出ていたヒアリングでした。
 
こんなヒアリングに役人側がのこのこと出ていく必要はあるのだろうかと疑問を抱いてしまいますが、野党といえども、国民に選ばれた政治家から出席要求がある以上、拒否するわけにはいきません。

ある国民民主党関係者は、「お付き合いしている要素が強いのではないか」と話していました。
 
選ばれたテーマに関係している役人に対しては気の毒としか言いようがありませんが、そのテーマは立憲民主党の安住淳国対委員長と原口氏が中心となって、他の議員からの希望を受け付けたうえで吟味して決めています。

テーマが決まれば質問内容は立憲民主党で集約し、関係省庁に事前通告して回答をもらうという仕組みを基本にしています。
 
さて、徹底的に官僚叩きをして、野党が得たものとは一体何でしょうか。残念ながら、自己満足に終わっていると言わざるを得ません。合同ヒアリングは「英語民間試験導入問題」も扱っていましたが、世論に響いたとはとても言えません。

萩生田氏の「身の丈発言」のほうがよほど破壊力があり、世間の耳目をこの問題に向けさせたのではないでしょうか。

「新党結成?」悪夢のようなではなく、悪夢!

関連する投稿


立民という泥船 蓮舫と小沢一郎は「自分たちの生活が第一」|坂井広志

立民という泥船 蓮舫と小沢一郎は「自分たちの生活が第一」|坂井広志

私利私欲を捨てて国家、国民のために尽くす。そんな憂国の士と呼べる政治家がほとんどいないのが立憲民主党である。立民は今後どこに向かうのか。蓮舫と小沢一郎は今後どう出るつもりなのか。(サムネイルは蓮舫議員Twitterより)


嗚呼、哀れな立憲民主 小沢一郎と蓮舫、異色タッグの野合宣言|坂井広志

嗚呼、哀れな立憲民主 小沢一郎と蓮舫、異色タッグの野合宣言|坂井広志

壊し屋、小沢一郎氏がまた動き出した――。次期衆院選で野党候補を一本化して、自民党候補に対峙することを目指すという。だがこの動きは旧民主の面々が大好きな内ゲバであり、共産とも維新とも協力したいというのなら、それは野合でしかない。(サムネイルは小沢一郎事務所Twitterより)


立民の惨状ここに極まれり! 度量の狭い「攻撃型リベラル」議員たち|坂井広志

立民の惨状ここに極まれり! 度量の狭い「攻撃型リベラル」議員たち|坂井広志

今に始まったことではないが、特に昨今の立憲民主党の状況は「惨状」と呼ぶにふさわしく、目を覆うばかりである。学級崩壊ならぬ政党崩壊の道を着々と歩んでいるようにしか見えず、その動きは加速すらしている。党内抗争にうつつを抜かし、国益そっちのけで先進7ヵ国首脳会議(G7広島サミット)をこき下ろす――。その姿はあまりにも醜い。


小西、杉尾、石垣、福山、蓮舫……立憲民主党という存在の耐えられない軽さ|坂井広志

小西、杉尾、石垣、福山、蓮舫……立憲民主党という存在の耐えられない軽さ|坂井広志

緊迫する国際情勢を受けて、立憲民主党はさぞかし安全保障をめぐる問題に真摯に向き合うと思いきや、そうではなかった――。自称〝憲法学者〟である小西洋之議員だけではない。立民の質問には、あきれるほど軽く、また本質から外れたものが実に多くみられる。(サムネイルは立憲民主党「国会解説2023」生配信より)


“弱毒”のオミクロン株に翻弄!岸田内閣は“ワイドショー内閣”だ|坂井広志

“弱毒”のオミクロン株に翻弄!岸田内閣は“ワイドショー内閣”だ|坂井広志

「聞く力」がトレードマークの岸田首相だが、いったい誰の声を聞いているのか。「まん延防止等重点措置」の適用について、ある政府関係者は「先手の対応だ」とご満悦だったが、浮かれている場合ではない。そもそも本当に「先手」なのだろうか。「聞かなきゃわからない岸田首相」のコロナ対策を、産経新聞編集委員の坂井広志氏が斬る!


最新の投稿


【川勝劇場終幕】川勝平太とは何者だったのか|小林一哉

【川勝劇場終幕】川勝平太とは何者だったのか|小林一哉

川勝知事が辞任し、突如、終幕を迎えた川勝劇場。 知事の功績ゼロの川勝氏が、静岡に残した「負の遺産」――。


【今週のサンモニ】「サンモニ」の”恐喝”方法|藤原かずえ

【今週のサンモニ】「サンモニ」の”恐喝”方法|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


「子供1人生んだら1000万円」は、とても安い投資だ!|和田政宗

「子供1人生んだら1000万円」は、とても安い投資だ!|和田政宗

チマチマした少子化対策では、我が国の人口は将来半減する。1子あたり1000万円給付といった思い切った多子化政策を実現し、最低でも8000万人台の人口規模を維持せよ!(サムネイルは首相官邸HPより)


【読書亡羊】出会い系アプリの利用データが中国の諜報活動を有利にする理由とは  『トラフィッキング・データ――デジタル主権をめぐる米中の攻防』(日本経済新聞出版)

【読書亡羊】出会い系アプリの利用データが中国の諜報活動を有利にする理由とは 『トラフィッキング・データ――デジタル主権をめぐる米中の攻防』(日本経済新聞出版)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【今週のサンモニ】岸田総理訪米を巡るアクロバティックな論点逃避|藤原かずえ

【今週のサンモニ】岸田総理訪米を巡るアクロバティックな論点逃避|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。