「総理欠席」が与える印象
高市総理のG7オンライン会議欠席の話題が尾を引いている。「代理出席でいいと言われたから」「回線が繋がらなかったから」欠席し、その時間は会食ののち公邸で資料を読んでいたという。
しかし仮に総理の立場にある人物が「何としても出席したい。どうにかならないのか」と言えば「代理でいいですよ」「回線も今夜は無理ですね」ということにはならなかっただろう。現に、代理の人間はオンライン会議に出席しているのだ。
「総理がわざわざ出席しなくてもいいような議題だった」という話も出ているが、大事なのは「欠席したことがG7各国にどんなメッセージを与えるか」だろう。
7月にも高市総理はNATO首脳会議を欠席している。招待されたにもかかわらずだ。この時は国会の日程が理由であり、茂木外相、小泉防衛相は出席したが、こうしたことが続くと「日本はNATOやG7との関係を重視していないのか?」との疑念を与えかねない。
大久保泉『知られざるアメリカ外交儀礼』(角川新書)を読んで、その思いを一層強くした。日本出身、元NHK記者で現役アメリカ国務省職員が「外交の舞台裏」を明かした一冊だが、とにかく「外交はメッセージ」であることが随所から伝わってくるのである。
大久保氏が務めるのは外交儀典官。大統領や国務長官などアメリカ政府の要人が主催する外交行事に合わせ、会議や夕食会のメニュー、席次、会場のしつらえなどを整えるのが主な仕事となる。
食事のメニューまで儀典官が考えるのかと驚くが、本書を読むと、食事こそ最も気を使わなければならないものだとわかる。
徹底してこだわるメニューや席次
アレルギーや好みに気を配るのはもちろん、相手の信仰の関係で食べられない食材を使わない。インドのモディ首相が訪米した際には、昼食会当日になって「首相は断食中なので昼食を食べない」と連絡が入ったという。
メニューはアメリカと相手国の双方の料理のエッセンスを融合させる。例えばオバマ大統領時代、野田佳彦総理を米側スタッフとして迎えて開いた夕食会では、ゆずや醤油が素材として使われた。

