テレビ番組もびっくりの「放談」
かつて「時事放談」というTBSの番組があった。番組自体は見たことがなくても、政治家が和室のようなセットに座っている画像は見たことがある、という人はいるかもしれない。実に44年にわたり続いた番組で、放送開始は1957年。1987年でいったんその幕を閉じたが、2004年に復活。2018年9月に番組終了を迎えることとなった。
番組概要を見ると手練れの記者や政治学者が重量級・重鎮級の政治家を呼び日曜朝からたっぷりと話を聞く内容だったという。
2018年に番組が終了したというのも示唆的で、これはネットで視聴する動画隆盛の時代への突入を感じさせる。だが、動画の場合は50万再生も行けば大成功だが、テレビの場合は仮に2%の視聴率でも全国で230万人、関東ののみでも80万人ほどになる。
「時事放談」は早朝だから番組視聴率はそれほど高くはなかったと思われる。だが、プロが忌憚なく話を聞き、政治家もそれに応じる。その意味は大きかったのかもしれない。
現在、それこそ動画の隆盛により議員や政治家も個人のチャンネルを持ち、日々、思い思いの発信をしている。政治家同士のコラボや厳しいツッコミを入れる学者や有識者との共演もないではないが、どこか軽さはぬぐえない。
そんな「時事放談」第二期の司会を務めていた政治学者の御厨貴氏と日経新聞編集委員で政治取材を続けてきた芹川洋一氏が、かつての番組もびっくりの「放談」を展開しているのが『令和政権論――今なぜ高市首相なのか』(日経プレミアシリーズ)だ。
「放談」と言っても中身はなかなかにして読みごたえがある。歯に衣着せぬ政治論評に政界裏話や過去のエピソードも交え、菅、岸田、石破、高市という令和の政権がどのように誕生し、交代してきたのかを、時系列を逆転する形で分析している。
石破政権が高市政権を生んだ?
第一部は高市政権。「派閥がない、子分がいない、チームもない、人と会わない、官僚によるレクもない」とないない尽くしの高市総理を、御厨・芹川両氏はこう評する。

