キキ兄さんは、サーシャ兄さんやリスベット姉さんみたいに、ぼくが近づいただけでシャー! と脅したりはしません。ちょっと嫌そうに首を振るけど、そのまま水飲み場に向かいます。なのでぼくは嬉しくなって、また首からぶら下がったり、お尻のあたりに飛び乗ったりします。そして兄さんが水を飲もうとしたところでもう一度、首に飛びつくのです。
そうすると初めて兄さんが、ウー、とかいい始めます。「ねえやめてよー、お水飲みたいんだよー」って感じです。ここでやっと事態に気づいた父さんに、「こらこら」といいながらぼくは引き離され、部屋の外に出され、ドアがバタンと閉められます。
外ではセミが鳴いています
踊り場から見える景色
ぼくはふうっと息をついて、今度はゆっくりと階段を下ります。階段の途中の踊り場には、小さな椅子と机、そして猫用クッションが置いてあります。ぼくは椅子に乗って、いつものように庭を眺めます。ここの椅子なら、ぼくは飛び上がれます。
父さんがやたらめったら木を植えたので、庭は緑でいっぱいです。特にとても暑い今の季節は、枝やら葉っぱやら、それに地面の草なんかがぐんぐん伸びて繁っているので、窓から見るとどこもかしこも、キラキラと滴っているようです。
ぼくは前足にあごをのせて窓の外を眺めながら、いろんなことを考えます。父さんと母さん、兄さんと姉さんたち。ぼくがおとなになったらやりたいこと。それにこの窓の外の、どこか遠くにいる、パパとママときょうだいたちのこと。ぼくもちゃんと食べて、どんどん大きくなっているよ。そのことはきっと、みんなにも伝わっていると思います。
ひと休み

