安倍晋三首相(戦後70年):戦後七十年にあたり、国内外に斃れたすべての人々の命の前に、深く頭を垂れ、痛惜の念を表すとともに、永劫の哀悼の誠を捧げます。(中略)
何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実。歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。一人ひとりに、それぞれの人生があり、夢があり、愛する家族があった。この当然の事実をかみしめる時、今なお、言葉を失い、ただただ、断腸の念を禁じ得ません。
戦後50年の村山首相と戦後60年の小泉首相が自ら反省し謝罪したのは、当時は戦争に責任ある立場の国民が存命していたことと、彼ら自身が戦前・戦中生まれであったからと考えられます(ただし、小泉首相は終戦時3歳なので責任能力はありません)。
一方、戦後70年の安倍首相が自ら反省と謝罪を行なわずに断腸の念を表したのは、当時すでに戦争に責任ある立場の国民はほとんど存命しておらず、安倍首相自身も戦後生まれであったからと考えられます。
反省と謝罪することができない人が反省と謝罪をすることに意味はありません。
ただし、安倍首相も談話の中で「反省」「お詫び」という言葉を使っています。
安倍晋三首相(戦後70年):我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました。こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります。
これは、過去に当事者が反省と謝罪を行なったことを確実に記憶に残していくという決意の表明です。さらに談話には次のような文言が入っています。
安倍晋三首相(戦後70年):日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。