このコメントも五輪憲章を理解していないナイーヴなものです。五輪が行使しうる手段の範囲では、僅かな戦争抑制効果を期待できたとしても、強制的な戦争抑止効果を期待できないことは自明です。戦争が起こっていることを五輪の反省の欠如に求めるなど夢想もいいところです。
なお、各国のメダル数を数えて拡散してきたのは、五輪を重要な商業コンテンツとして利用いる『サンデーモーニング』をはじめとするテレビです。テレビこそ国民の競争心を煽っている最大の元凶です。
ナショナリズムを煽っているのはテレビ
畠山澄子氏:選手たちが国を代表してメダルを競い合うようになってしまっている。一方、メキシコ五輪の時に陸上選手がブラックパワー・サリュートをした。あれは、表彰台にのった時に国家に忠誠を示すというよりも黒人の団結を示す、黒人差別に抗議をすることを選んだ選手もいて、IOCには処分されたり、その後もIOCは規制を続けているが、アスリート自身が国家と国家が競い合うというのを超えたより大きなものを五輪は示せる側面もある。
国を代表してメダルを競い合うというのはテレビの大衆操作です。日本人は正常な認知バイアスによって日本人選手を応援しているのであって、メダルの数を数えて日本人のナショナリズムを煽っているのは『サンデーモーニング』をはじめとするテレビに他なりません。
また、選手が五輪で政治運動するのも五輪の政治利用です。正義の運動であるのならば、五輪という権威は必要ありません。
松原耕二氏:開会式も素晴らしかったし、選手の平和の祈りも本当に切実な本当の物だ。気になるのは五輪が掲げる理想とIOCの実態の乖離が物凄く大きい。