報告書を読むと、身の毛のよだつ凄まじい状況だということがよくわかる。
「安全基準の甘さを訴えることは、直接的な政治的処罰を求めることに等しい」と報告書には記されている。核兵器開発に携わっている大多数の科学者の健康や安全などの人権は無いも同然の扱いである。
「科学者や技術者は、基本的に中学生から奴隷にされる」「北朝鮮の核科学者たちには、成功以外に手段はない。金正恩は父親や祖父に比べれば、研究上のミスには寛容だが、いかなる失敗も不誠実とみなされる」
北朝鮮にまともな人権などあるはずもないとは思っていたが、体制の中核を支えているはずの核兵器開発の科学者たちでさえこのような状況であるという今回の報告書は、衝撃的な内容だった。
北朝鮮人権委員会のウェブサイトにおいて報告書は公開されているので、ぜひ読んで頂きたい。(https://www.hrnk.org/publications/hrnk-publications-view.php?id=69)
自由インド太平洋連盟副会長。1976年、福岡市生まれ。九州大学経済学部卒業。経済団体職員などを経て現職。アジアの民族問題を中心に、国内外にネットワークを持つ国際人権活動家。