安田氏と松原氏によるこれらのコメントは論理的です。ここで考える必要があるのは、イスラエルがイランとの戦争を回避してガザ侵略を選択するのは相手の抑止能力の有無であるということです。
覇権国家であるイスラエルにとって、強力な攻撃力を持つイランを攻撃するのは非効率であり(懲罰的抑止効果)、攻撃力も防衛力も低いガザを侵略する方が効率的です。
2024年4月14日の放送で、膳場貴子氏が主張した「抑止力を高めれば、攻撃の標的になるリスクも高まる」というのは、本当にどうしようもなく無責任な発言であると言えます。専制覇権国家は、核心的利益のためなら、血も涙もなく相手の弱点を突いてくるのです。
【今週のサンモニ】岸田総理訪米を巡るアクロバティックな論点逃避|藤原かずえ | Hanadaプラス
https://hanada-plus.jp/articles/1506『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。
「止めろ」で止まるわけがない
外交すれば戦争を止められるという幻想は何の根拠もないものです。その意味で、イスラエルのガザ攻撃に対する安田菜津紀氏の次のコメントもあまりにも無責任です。
安田菜津紀氏:これだけの女性と子どもを含んだ凄惨な事態をなぜ国際社会が止められずにいるのか。それに関連しては、日本の中でも実は気になる動きがあって、8月6日に広島で平和式典が行われるが、そこに、ウクライナに対する軍事侵攻を続けるロシアが招待されないという一方で、イスラエルに対しては変わらず招待状を送るということだ。
まず、疑問に思ったのはその理由だ。「イスラエルの攻撃については世界各国の判断が定まっていないため」と広島市は説明しているが、あと何人のガザの人が殺されたら、あと何人の女性たちが犠牲になったら、あと何人の子どもたちが孤児になったら、広島市は他国の顔色を見ずに主体的な判断ができるのか。少なくとも国際平和都市と名乗るのであれば、そういうダブル・スタンダードではなくて、人権だったり人道だったり少なくとも国際法に基づいた態度を貫くべきだ。