年間16兆円の財源は国債で賄うべき!
では、財源をどうするのか。
私は、子供国債ないし教育国債を発行すべきであると考える。出生率2.07で出生数は約160万人であるので、年間16兆円の財源が必要であるが、将来への投資であり、将来の子供たちも人口規模の維持でメリットを享受することから、やはり国債で賄うべきである。
将来への投資は建設国債と同様の考え方であり、すでに日本学生支援機構の無利子奨学金は建設国債が流用されている。16兆円の国債は我が国が無理なく発行できる額である。
そして、我が国の人口を一定規模で維持する中で、子供を産み育てる知識をかなり若い段階から得ることが重要であると考える。結婚(初婚)年齢は年々高齢化しており、平成12(2000)年に男性28.8歳、女性27歳であったのが、令和4(2022)年には、男性31.1歳、女性29.7歳と、2歳以上高くなっている。
年齢が高くなればなるほど卵子は老化し、精子も運動率等が低下する。卵子の数は誕生時が一番多く、年齢とともに減っていく。しかし、こうした知識を持っている人が少ない。私も自らが不妊治療に臨むまで、こうした知識の詳細を知らなかった。
これらは性教育ではなく、生物学的教育であるので、私は小学校高学年から積極的に学校で教えていくべきであると考える。文部科学省に働きかけ実現していきたい。
また、所得が伸びないことも、晩婚化や出産の高齢化の原因となっている。一定の貯金ができるまで待ったり、給与がもう少し高くなるまで待ったりしているのが現状である。
民間平均給与は平成9(1997)年の467万円がピークで、その後のリーマンショックや民主党政権下の無策の経済政策により406万円まで下がったが、アベノミクス以降回復し、おととし令和4(2022)年には458万円まで回復、今年は平成9年のピークを上回るとみられる。
これまで、不妊治療の保険適用や産後ケアの助成金拡大など、出産や子育てをしやすい政策を私も実現してきたが、子供を産み育てる環境づくりで何よりも必要なのは所得の向上である。
アベノミクスを完遂しさらなる所得の向上と、1子あたり1000万円給付といった思い切った多子化政策を実現し、我が国が最低でも8000万人台の人口規模を維持しながら大国として輝き続けるよう全力を尽くしていきたい。
残された時間はほとんどない。速やかに実現していきたい。
著者略歴
1974年、東京生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業(日本外交史)。1997年、アナウンサーとしてNHKへ入局。新潟局、帯広放送局、大阪放送局を経て、2009年7月より仙台放送局に勤務。東日本大震災の報道や取材に携わる。2013年、第23回参議院議員選挙において、宮城県選挙区で初当選。2019年、全国比例区で再選。