インボイス反対派を完全論破!|デービッド・アトキンソン

インボイス反対派を完全論破!|デービッド・アトキンソン

10月から開始されるインボイス制度。反対論が喧しいが、なぜ、子供からお年寄りまで払っている消費税を、売上1000万円以下の事業者というだけで、免除されるのか。 まったく道理が通らない!


経営者に甘い日本

インボイス制度によって「廃業する事業者が大量に出る!」 「産業を破壊する!」などという意見もありますが、この程度で廃業や産業破壊など起こるはずがない。

少し前も、私が「最低賃金を引き上げるべきだ」と主張すると、同じように「倒産する会社が続出する!」 「失業者が大量に出る!」と騒がれました。安倍政権になってから最低賃金は1・4倍も上がっていますが、倒産が増えたり、失業率が上がったりなどしませんでした。
 
これも日本の文化の1つだと思いますが、日本は異常に経営者に甘い。最低賃金やインボイス議論にしても、企業、事業者サイドを「弱者」のように扱い、できる限り優遇しようとします。
 
これまで法律で認められてきた以上、免税事業者を責めるつもりはありませんが、この免税システムが悪用されてきたのも事実です。
 
たとえば1人の経営者が、本来は1つの事業をいくつかの法人に分けて売上を1000万円以下にすることで、実際にはトータルで売上が1億円以上あるのに、消費税を納めなくても済む。
 
インボイス制度で、こういった悪用を防ぎ、税収が増えるのですから、国民は歓迎すべきです。インボイス制度に反対しているフリーランスの人々も、いまさらインボイス制度が廃止されることはないのだから、納税することに対して誇りを持ってほしいと思います。
 
いずれにせよ、インボイス反対派は、企業間取引をしている企業の経営者だけは消費税を納税せずに、国民全員に年間2000円の負担を強制する特権の「必要性」について、説明するべきでしょう。

デービッド・アトキンソン

https://hanada-plus.jp/articles/347

小西美術工藝社社長。1965年イギリス生まれ。日本在住31年。オックスフォード大学「日本学」専攻。裏千家茶名「宗真」拝受。1992年ゴールドマン・サックス入社。金融調査室長として日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し、注目を集める。2006年に共同出資者となるが、マネーゲームを達観するに至り2007年に退社。2009年創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社に入社、2011年同社会長兼社長に就任。2017年から日本政府観光局特別顧問を務める。『デービッド・アトキンソン新・観光立国論』(東洋経済新報社、山本七平賞、不動産協会賞受賞)『日本再生は、生産性向上しかない!』(飛鳥新社)など著書多数。

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