【読書亡羊】河野大臣に勧めたい!? ソフトウェア設計「虎の巻」 倉貫義人『人が増えても早くならない』(技術評論社)

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その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


現場の心情が思いやられる

こうした無知から来る無茶ぶり(圧力)を現場にかけかねない責任者はもちろん、社で何らかのソフトウェアを利用している経営者など、システムにかかわるすべての人たちは今からでも遅くないので〈プレッシャーをかけても生産性は上がらない〉と題する本書の5章を熟読してほしい。

「現場にプレッシャーをかけて完成を急がせると、その代償に品質が下がる」

「急がせたために妥協した品質をリカバリーするのは大変」

「土台がぐらぐらのまま、さらに機能を載せると重ねた機能の分だけ改修もコストも厳しくなる」

「そうして数年たつと、これ以上機能を追加しようにも手が出ない状況に陥る」

これはソフトウェア開発だけでなく、ビジネス全般に当てはまることでもあるが……。

マイナンバーカードへの賛否はともかく、本書を読むと現場の心情にも思いをはせたくなる。

梶原麻衣子 | Hanadaプラス

https://hanada-plus.jp/articles/712/

ライター・編集者。1980年埼玉県生まれ。月刊『WiLL』、月刊『Hanada』編集部を経てフリー。雑誌、ウェブでインタビュー記事などの取材・執筆のほか、書籍の編集・構成などを手掛ける。

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