「厚労省局⻑の郵便不正疑惑/共産党、繰り返し追及
障害者郵便割引制度の悪⽤事件に絡んで逮捕された厚⽣労働省の村⽊厚⼦雇⽤均等・児童家庭局⻑の疑惑について、⽇本共産党は国会質問で繰り返しただしてきました。
疑惑浮上直後の2⽇の参院厚労委員会では⼩池晃議員が村⽊⽒に直接質問し、同⽒が障害保健福祉部の企画課⻑だった2004年当時に『凛(りん)の会』代表と⾯会した事実などを追及。『お答えできません』と⼀点張りの村⽊⽒や『捜査が⼊っているときに、内容を国会で⾔明すべきでない』などという⾇添要⼀厚労相の姿勢を批判しました。」
この赤旗記事では小池氏の〝手柄話〟をさらりと書いているが、実際の小池氏の村木氏への追及は熾烈なものだった。
小池 04年2月当時の障害保健福祉部長は、現在独立行政法人福祉医療機構理事の塩田幸雄氏、それから同じく企画課長は、現在雇用均等・児童家庭局長の村木厚子さん、今いらっしゃいます。村木さんは、04年2月ごろ、凜の会の代表が企画課を訪れたときに面会されたという事実はありますか。
村木 私、雇用均等・児童家庭局長として政府参考人として今日呼ばれておりますので、所管外の問題についてはお答えをすることができません。御容赦をいただきたいと存じます。
小池 私、その言い訳は通用しないと思うんですよ。これ、施策の中身、細目について聞いているんじゃないんです。今、厚生労働行政の公平性、公正性に社会の疑惑の目が向けられているんですよ。その当時、やっぱり担当者だった以上、あなたは厚生労働省の幹部としてこの疑問に対してちゃんと答える責任があると思います。もう一度答えてください。
村木 恐縮でございますが、重ねてお答えを申し上げます。雇用均等・児童家庭局長としては所管外の問題でございますので、お答えをする立場にございません。
小池 いや、駄目だって。だって、この障害者団体の証明書には企画課長だったあなたの公印が押されていたというのは、さっき答弁があったんですよ。ね、ちゃんと答えてくださいよ。これじゃ駄目ですよ。
村木 重ねて申し上げます。私の立場でお答えをできる状況でございません。立場でございません。
小池 官房長、当時の企画課長が、まさに公印が押されていたというわけですよ。ね。だったらば、それについて元課長である村木さんに、調査委員会としてその件について調査する、聴くというのは当然じゃないですか。何でやらないんですか。やってないんだったら、今そこで聴いてください、隣にいるんだから。村木さんが答えられないんだったら、あなたが答弁してくださいよ。そうでなきゃ駄目です。(2009年6月2日 参院厚生労働委員会議事録より)
この委員会の12日後の6月14日に大阪地方検察庁によって村木氏は逮捕された。今日ではよく知られているようにこの逮捕は、検察が証拠をねつ造までして起こした冤罪であった。村木氏にしてみれば、身に覚えのない嫌疑がかけられ、恐怖を感じていた時期に小池氏から厳しい追及を受けたことになる。不用意に答弁すれば、それが検察によって、どんな〝証拠〟に変えられてしまうのか、わかったものではない。村木氏はただ「お答えできません」を繰り返すしかなかった。
重大なことは、小池氏が「村木氏が犯人」という検察のシナリオに沿って追及をしていることだ。汗をかきながら小池氏の追及をかわそうとする村木氏の姿はテレビのニュースでも流され、視聴者は「村木氏はクロ」という印象を持ったことだろう。
1年以上の長い裁判闘争の中で村木氏は無罪判決を勝ち取った。同時に検察の証拠偽造という不正を暴いた不屈のヒロインとしてマスコミから持ち上げられる立場になった。
政界のなかで一番厳しい疑惑の目を村木氏に向けていた共産党は手のひらを返したように村木氏に擦り寄り、勉強会等の講師に招いたりして、「取調べの可視化」「冤罪の防止」などで法務省や検察を追及するために村木氏を利用し始めた。
だが共産党と村木氏との間に友好関係が築かれた後も、村木氏の参加する集会等に小池氏が出席した記録は見当たらず、小池氏と村木氏の面会は今日に至るまで実現していないようである。ここでも小池氏は、弱い立場に者には厳しいが、誤りが明らかになっても謝罪できないという人間としての本性を露わにしているのである。