「異次元の少子化対策」は本当に「異次元」か
「異次元の少子化対策」のたたき台案が先週末、政府より発表された。今年の年頭会見で岸田首相が「異次元の少子化対策」を打ち出してからその内容が注目され、中身が無い場合には逆に失望に繋がって、各種選挙へ影響することも懸念されていた。
私は内容について一定の評価をしており、国民全体も一定の評価をしていると感じている。しかし、「異次元」か、と言えば、もの凄く新しいことに踏み切ったということではなく、こちらも国民全体の反応は同様であると感じる。
今回のたたき台案の骨子は何か。
その大きな柱は、児童手当の所得制限撤廃をはじめとする対策だ。現在の児童手当は、年収833万円を超えると児童手当の減額の対象になり、1071万円を超えると児童手当の給付対象にならない(扶養親族の数で減額開始年収は変化)。夫婦で一生懸命働いて税金も納めてきたのに、所得が一定以上になると児童手当が支払われないことに、制度上のおかしさを述べる子育て世帯も多かった。
年収2000万円超とか3000万円超の方に対する所得制限ではなく、夫婦で頑張ってそれぞれ600万ずつ稼いだのに、「収入が多いから対象外」では、子育てにかかる費用を考えれば、それは無いだろうという考えを私もずっと持ってきた。
たたき台案では、所得制限を撤廃するとともに、支給期間を高校卒業まで延長する。そして、3人以上の子供を育てている多子世帯については、児童手当の加算も検討する。さらに、児童手当の額そのものの見直しも行うこととなっている。手当額の水準見直し・引き上げは、政府のたたき台案発表に至る自民党内の議論の中で、私が強く提起してきた。
1000万円給付、私の案とひろゆきさんの案
私は児童手当について、一子あたり1000万円給付を主張している。今週4日のテレビ中継入りの参院決算委員会でこれを質問し、大きな反響があったが、これくらいのことをしなければ私は少子化は転換しないと思っている。
私の案はこれまでも述べてきたが、出産時300万円、3歳時300万円、6歳時200万円、9歳時200万円の分割給付か、月額6万円×15年間で計1080万円給付で、そのほか無償化等を充実させるというものである。
実業家のひろゆきさんも一子あたり1000万円給付を提起されており、ひろゆきさんの案は一括給付で、養育義務に違反したら給付金を回収する等の対策を取る。私は、この案も取り得ると思うが、やはり継続して子育てをしながら給付を受けるほうが、暮らしの安定のためにも良いと思う。
子育てをすることが、「子供を授かって幸せだけど生活は大変だ」ではなく、「子供を授かって幸せだし、生活も豊かだ」と感じてもらえるようにしなければ、もう今の状況では、どんどん子供を産み育てようという方向性にはならない。現状は、経済面から子供を産み育てる時期を待ってしまったり、もう1人産み育てるのは経済上無理だということになってしまっている。
1000万円給付は多いのではと言われるが、1人あたりの生涯賃金の平均は2億1568万円(doda調べ)で、一生における経済活動でこれ以上に経済に及ぼす効果がある。1人あたりの一生の納税額も、だいたい3000万円から4000万円になるから、1000万円でもむしろ安いと言える。なお、1000万円給付の財源は、私の案では約10兆円となる。