今こそ防衛装備移転三原則の改定を!|和田政宗

今こそ防衛装備移転三原則の改定を!|和田政宗

戦後の世界秩序や常識がロシアのウクライナ侵略によって完全に破壊された――。もうこれまでの手法では、我が国の平和も世界の平和も守れない。今こそ防衛装備移転三原則の改定を行うべきではないか。


最前線の兵器の主力はドローンだが……

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先週、幕張メッセで開かれた防衛装備品や武器、兵器の総合展示会「DSEI Japan」を視察、防衛装備庁や民間企業などが最新鋭の技術や製品を展示していた。その中で、各企業が注力していたのはドローンであった。あちらにもこちらにもドローンの展示があり、最前線の兵器の主力はドローンになるとの印象を受けた。

しかし、兵器としてのドローン開発は、私はとても怖いものだと思っている。例えば、生命反応を感知する超小型のドローンを兵器として活用すれば、人間に取り付いて爆発させたり、頭に取り付いて弾丸を発射させたりするなどして、確実に人を殺傷できる兵器となる。

無差別殺戮の意思をもって使用された場合、ひとつの地域に1万個のこうしたドローンを大型トラックなどで運び込んで放てば、地域の1万人全員が殺されてしまうこととなる。クラスター爆弾の使用がその残虐性と高い殺傷能力から禁止となったように、こうしたドローンの使われ方は、私は規制をすべきと考える。

また、ドローンの他、「DSEI Japan」においては、装輪戦車とも呼ばれる16式機動戦闘車の実物展示、日英伊共同開発の次期戦闘機のイメージ模型なども展示された。これらの防衛装備品は極めて高い能力を有しているが、日本は防衛装備移転三原則があり、殺傷能力のある武器の輸出は難しい。

しかし、このように武器輸出が大きく制限されていることが、自衛隊が調達する防衛装備品の高額化や防衛産業の衰退を招いている。つまり、国内で生産された武器は自衛隊のみで使用されることから、生産量も少なく高コストとなり、防衛装備品を製造する企業からすれば不採算である防衛部門は閉鎖したいという現状に繋がっているのである。

こうした中、実際に防衛産業からの企業の撤退が続いており、政府は2月に、自衛隊の任務に不可欠な装備品を製造する企業の事業継続が困難になった場合に、製造施設を国有化し、別の企業に運営を委託することを可能にする法案を閣議決定した。

殺傷能力を持つ武器についての移転

政府は昨年12月の国家防衛戦略など安保3文書改定において、「安全保障上意義が高い防衛装備移転を幅広い分野で円滑に行うため、防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しについて検討する」と、防衛装備移転三原則の緩和の方針を記した。

その前提として、「防衛装備品の海外への移転は、特にインド太平洋地域における平和と安定のために、力による一方的な現状変更を抑止して、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出や、国際法に違反する侵略や武力の行使又は武力による威嚇を受けている国への支援等のための重要な政策的な手段となる」からだとした。

防衛装備品の輸出は、我が国の防衛産業の維持のみならず、高い能力を持った武器を友好国と共有することで抑止につながる。

殺傷能力を持つ武器についての移転についての議論は分かれるところであるが、戦後の世界秩序や常識がロシアのウクライナ侵略によって完全に破壊され、国を守るためには、侵略を受けた国自身の反撃のみならず同盟国や同志国が一致結束して立ち向かうことが重要であることは誰もが認識している。

こうした中、力による一方的な現状変更や侵略に立ち向かう国を支えるために、自衛隊において順次退役させている防衛装備品を海外移転できないかという考え方がある。兵器にはあたらないが、すでに、海上保安庁の中古巡視船がフィリピンに供与されている実例もある。

今、ロシアの侵略を跳ね返そうと懸命に戦っているウクライナにおいて、多連装ロケットシステム(MLRS)が効果を発揮している。一方でこのMLRSは、日本においては順次退役(廃止)となり、解体されている。これをウクライナに供与できないだろうかという声が外交防衛関係者の中で強まっている。

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