「習近平は退陣せよ」中国抗議デモと江沢民氏の死去|和田政宗

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中国でゼロコロナ政策に対する抗議デモが拡大するなか、闘病中だった江沢民・元国家主席が亡くなった。独裁体制が盤石となった習近平国家主席は、毛沢東も成し遂げられなかった台湾統一に向けた動きを着々と進めている――。


手段を選ばない習近平国家主席

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一方、台湾においては、統一地方選で与党・民進党が敗れ、蔡英文総統は民進党主席を辞任した。蒋介石のひ孫・蒋万安氏が台北市長に当選するなどしたことから、2年後の2024年の総統選で、国民党に総統を奪還されるのではないかという懸念の声を日本国内で聞く。

中国との融和姿勢を見せてきた国民党政権になれば、台湾の状況はおかしなことになるという懸念である。台湾の総統は1期4年で連続2期までで、2期目の蔡英文総統は次回総統選には立候補できない。

民進党の総統選候補者は頼清徳副総統が有力であるが、国民党はまだ有力な総統候補の名が挙がっていない。蒋万安氏は台北市長に当選したばかりであり、次期総統選への立候補は無理とみられ、台北の隣の新北市長選で大差で再選を果たした侯友宜氏に期待の声が上がる。

党主席の朱立倫氏は昨年の党主席選で、次期総統選については「勝てる候補者を選ぶ」として、自らの立候補を否定したが、有力な候補者が出なければ自ら立候補することもあり得る。ただ、いずれにしても民進党の頼清徳副総統候補が有利とみられ、統一地方選の結果がそのまま総統選の結果にはつながらないと考える。

台湾の人々は中国の脅威を強く感じており、しっかりと中国と対峙する民進党政権の継続を選択する可能性が強いと思う。

中国の侵略の脅威が迫る中、台湾有事は日本有事であり、我が国も台湾の動向を見守るとともに、中国の侵略を抑止しなければならない。中国において抗議デモが起きても、習近平国家主席は台湾侵略に向けた動きを止めることはないであろう。

繰り返しになるが、いざという時は天安門事件のように国民の命が失われても強引に鎮圧する。台湾統一という目標の達成のために習近平国家主席は手段を選ばない。それを我々はしっかりと認識し、対処しなくてはならない。

月刊『Hanada』2023年1月号

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