自衛官の給料明細を公開! これっぽっちの給料で日本を守れるのか?|小笠原理恵

自衛官の給料明細を公開! これっぽっちの給料で日本を守れるのか?|小笠原理恵

10月4日午前、北朝鮮が弾道ミサイル1発を発射。日本上空を通過し、太平洋上に着弾した。日本がやるべきことはたくさんある。そのうちのひとつを国防ジャーナリストの小笠原理恵さんが緊急提言!自衛隊員の待遇改善なしにこの国の未来は守れない!


自衛官候補生よりは給料は上がっているが、集団生活を強いられ、災害地域や危険な防衛の最前線に向かう職業の報酬としては魅力的とは言えない。

米軍の給与はどのような水準なのか

ここで米軍の給与と比較してみる。

志願制の米軍の最も給与の低いランクの現役勤務経験が4か月に満たないE-1クラスメンバーで月々約1833ドル(265,161円。※9月28日のレートで計算。以下の計算はすべて同上)が基本給で、その上に住宅基本手当と生活のための基本手当(BAS)や陸軍ではドリルペイという訓練手当が上乗せされる。

その次の給与グレードE-2クラスが見習いや1士にあたるものだが、この基本給で約2054ドル(297,170円)となる。

また米軍では陸軍ROTC奨学金等の奨学金や大学に入学する諸費用の支援がある。軍人としての業績や成績が認められれば、授業料と諸費用などが毎月もらえるプログラムを申請できる。奨学金には住宅費用や生活費や年間の書籍代も加算される。

その場合、大学卒業後に士官として一定期間は軍に勤務する義務があるが、このような人材が軍だけでなく米国社会の大きな力となる。インターネットが軍事研究から生まれたことは有名な話だが、軍事産業からのスタートアップは経済を活性化させている。

日本もこのような自衛隊出身の高度人材を育成するシステムを構築できれば国力にプラスの影響をもたらすはずだ。

米空母に勤務する若い米兵たちは複数の大学の博士号をとり、長期休暇ごとに大学で新たな学位や博士号をとるために勉強していると誇らしげに語っていた。命の危険もある軍務に就く米兵たちにはその職責に見合う待遇と権利が約束されている。

日本の自衛隊と米軍の待遇の差は軍人に対しての敬意がそのまま報酬額の違いとなっているのではないかと感じる。もし、この米軍の待遇を自衛隊が目指せば、隊員募集に苦悩することは減り、自衛隊への入隊希望者が増えるはずだ。

人材が不足し続ける自衛隊は、国民から多くを求められるが、働いても報われることが少ない職業と言わざるを得ない。「名誉」だけでは人は集まらない。待遇改善は国防を担う自衛隊員へ敬意を示し、その職責を正しく評価することだと私は思う。

自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

関連する投稿


トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

米国大統領選はトランプ氏が圧勝した。米国民は実行力があるのはトランプ氏だと軍配を上げたのである。では、トランプ氏の当選で、我が国はどのような影響を受け、どのような対応を取るべきなのか。


我が党はなぜ大敗したのか|和田政宗

我が党はなぜ大敗したのか|和田政宗

衆院選が終わった。自民党は過半数を割る大敗で191議席となった。公明党も24議席となり連立与党でも215議席、与党系無所属議員を加えても221議席で、過半数の233議席に12議席も及ばなかった――。


衆院解散、総選挙での鍵は「アベノミクス」の継承|和田政宗

衆院解散、総選挙での鍵は「アベノミクス」の継承|和田政宗

「石破首相は総裁選やこれまで言ってきたことを翻した」と批判する声もあるなか、本日9日に衆院が解散された。自民党は総選挙で何を訴えるべきなのか。「アベノミクス」の完成こそが経済発展への正しい道である――。


石破新総裁がなぜ党員票で強かったのか|和田政宗

石破新総裁がなぜ党員票で強かったのか|和田政宗

9月27日、自民党新総裁に石破茂元幹事長が選出された。決選投票で高市早苗氏はなぜ逆転されたのか。小泉進次郎氏はなぜ党員票で「惨敗」したのか。石破新総裁〝誕生〟の舞台裏から、今後の展望までを記す。


青山繁晴さんの推薦人確保、あと「もう一息」だった|和田政宗

青山繁晴さんの推薦人確保、あと「もう一息」だった|和田政宗

8月23日、青山繁晴さんは総裁選に向けた記者会見を行った。最初に立候補を表明した小林鷹之さんに次ぐ2番目の表明だったが、想定外のことが起きた。NHKなど主要メディアのいくつかが、立候補表明者として青山さんを扱わなかったのである――。(サムネイルは「青山繁晴チャンネル・ぼくらの国会」より)


最新の投稿


【今週のサンモニ】反原発メディアが権力の暴走を後押しする|藤原かずえ

【今週のサンモニ】反原発メディアが権力の暴走を後押しする|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【読書亡羊】「時代の割を食った世代」の実像とは  近藤絢子『就職氷河期世代』(中公新書)

【読書亡羊】「時代の割を食った世代」の実像とは  近藤絢子『就職氷河期世代』(中公新書)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【今週のサンモニ】臆面もなく反トランプ報道を展開|藤原かずえ

【今週のサンモニ】臆面もなく反トランプ報道を展開|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

米国大統領選はトランプ氏が圧勝した。米国民は実行力があるのはトランプ氏だと軍配を上げたのである。では、トランプ氏の当選で、我が国はどのような影響を受け、どのような対応を取るべきなのか。


【今週のサンモニ】『サンモニ』は最も化石賞に相応しい|藤原かずえ

【今週のサンモニ】『サンモニ』は最も化石賞に相応しい|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。