田中角栄総理を守った「PSP」
警備のあり方がどうだったのか、警護担当の警察官の動きに焦点が当てられているが、自民党のスタッフの配置や動きも含めしっかりと検証しなくてはならない。本来、街頭演説時の警備は、主催者である候補者陣営や自民党各都道府県連が主体であり、元総理などの要人が応援演説に来られる場合は、SPや地元警察の警護担当者が付くことになる。
私の実際の事例で述べるならば、私は地元の宮城県内で要人とともに応援演説をする場合には、その会場に約30分前、遅くても必ず15分前に着くように行く。私は過去、街頭演説中、沖縄県辺野古と仙台の商店街で暴漢に襲われていることもあり、事前に応援演説者が立つ位置を確認し、周囲を見渡し、警護担当警察官がどこに配置されているかなどを確認する。
宮城県警の警護担当警察官も私がそうした事前確認をしていることを知っているので、「あの大きな荷物を持っている人は、演説で良く見かける方ですか?」などと私に質問をした。私が「見かけない方だと思います」と答えると、「分かりました。念のため注意しておきます」などとのやり取りがあり、私は陣営や党スタッフの現場統括者にアドバイスしたり、演説中に最前列のスタッフの間隔が開きすぎないよう細かな立ち位置を修正したりする。傍観者にならず、自らも党や陣営の一員として要人を守り演説を守るという意識で臨んできた。
街頭演説での要人警護については、旧田中派の関係の方々から、田中派スタッフや秘書会からなる田中角栄総理を守るための「PSP(プライベート・セキュリティ・ポリス)」という組織について伺ってきた。街頭演説の際、警察は、警護対象者の要人に何かがあってはならないと、演説場所に集まった方々と要人の距離を長く取ろうとする。一方、我々陣営側はなるべく集った方々に要人の近くで演説を聞いていただき、触れ合ってもらおうとする。
PSPの責任者は綿密に警察の警護担当責任者と打ち合わせを行い、要人と聴衆の距離をでき得る限り縮めるのである。そして、いざという時は身を挺して田中角栄総理を守る覚悟で警護にあたっていたとお話を聞いた。
民主主義を冒涜する行動を許してはならない
民主主義の根幹である選挙活動への襲撃や妨害を許さないことは当たり前のことであるが、一部のメディアは意識が低いようである。
3年前の参院選で、私は仙台市中心街での選挙運動中に暴行を受け、犯人は書類送検されたが、その際、CBC(中部日本放送)報道部公式ツイッターは、「ちょっと小突かれただけで、暴行事件とは。大げさというより、売名行為」と発信した。
民主主義の根幹を否定し暴力を肯定する滅茶苦茶な発信であるのに、書き込み犯は不明とのことで処分されなかった。これに対し、我が事務所に内部告発があり、書き込み犯は実は判明しているとの指摘があったが、結局いまだにCBCは何もしていない。
我々政治家は命懸けだ。民主主義を冒涜するような行動は許してはならないし、許容するような雰囲気も絶対に許してはならない。もう二度と今回のような事件は起こさせてはならない。
「安倍元総理の遺志を必ず引き継ぐ」と私は述べ、決意している。であるから必ず実行、実現をしていかなくてはならない。私が率先して行動で示していくとともに、きっと同じような考えを持つ仲間も大いに行動してくれるはずだ。一緒に大きな塊となって、安倍元総理が目指した国づくりを実現していく。