④正反対の「夢洲」と「咲洲」
大阪市側の体制も、夢洲と咲洲ではまったく違っていた。
夢洲の例を挙げるまでもなく、再生可能エネルギーに関する事業は一元的に「環境局」が担ってきたにもかかわらず、咲洲メガソーラーだけは担当部局が「港湾局」とされた。そして民間への公募も、咲洲メガソーラーだけは特異な、まったく違うやり方が選択された。
前述のように、夢洲では安心してメガソーラー事業を任せられるよう、メガソーラー事業に十分な実績のある企業に、発電事業に関する総合的な提案書を提出させ、その内容を大阪市環境局が精査した。
ところが咲洲メガソーラーでは、メガソーラー事業としての公募ではなく、何と「不動産賃借契約」という形をとった。このため、大阪市は入札希望者に対してメガソーラー事業の具体的な計画の提出を求めなかったのだ。
しかもなぜか、落札最低価格を「55万円」と事前に発表。この疑惑については後段で詳述する。
⑤実績ゼロの会社が落札
松井市長が動画のなかで認めているように、当時は太陽光ビジネスが花盛りで、大阪市とその周辺だけでもきちんと太陽光ビジネスを手掛けている会社は無数にあった。
ところが、この奇妙な入札に参加したのは「伸和工業」「日光エナジー開発」という、耳慣れない大阪市内の2つの企業で構成する「企業連合体」だけだった。他に入札者がいなかったから、落札したのもこの連合体だった。それでは、この2社は一体どんな会社なのか。
「伸和工業」は大阪市天王寺区玉造にあるライオンズマンションに入居している、街の工務店然とした小さな会社だ。