一方、「日光エナジー開発」は、橋下徹氏が市長選に勝った5日後の2011年12月2日に設立されている。そして会社設立から入札日の2012年12月5日までの1年間、日光エナジー開発は太陽光発電の施工や運営の実績はゼロ。
だから入札参加希望者が入札時に提出を義務付けられていた「納税証明書」が提出されなかった。納税していない企業だから当たり前だ。
要するに「伸和工業」も「日光エナジー開発」も入札段階では太陽光発電ビジネスの実績ゼロ。そして納税実績がなく納税証明書を提出できなかった日光エナジー開発に至っては、本来であれば書類不備で入札に参加すらできなかったはずだ。
ところが、この入札に参加したのはこの2社による企業連合体のみ。そして落札価格はなんと事前公示価格に1円を加えた「55万1円」。
公共事業の一般競争入札では落札後に必ず行われるチェックでも、大阪市は日光エナジー開発の書類不備を見逃し、実績ゼロの2社にメガソーラー事業をやらせることにして、2012年12月26日に契約を成立させた。この点だけでも、大阪市による大阪市民に対する重大な裏切りだ。
これを出来レースと言わずして、なんと呼ぼう。夢洲メガソーラーでは参加20社全ての納税証明書は当然のこと、事業継続のための資金力の有無も審査対象だったから、大手金融機関である三菱UFJ信託銀行が参加した。
ところが、咲洲メガソーラーの入札では資金力の確認どころか、納税実績のない会社の書類不備まで見逃して落札させたのだ。咲洲メガソーラーの入札がいかに異常だったかお分かりいただけるだろう。
大阪市は2011年までは、こんなイカサマな入札をやるような自治体ではなかった。それを雄弁に証明するのが、同じ大阪市が同じ大阪湾の埠頭で、わずか1年前に行った夢洲メガソーラーの完璧な手続きだ。
咲洲メガソーラーについてだけ、こんなイカサマな入札に変えるよう指示したのは一体誰なのか。
⑥案の定、着工できなかった「伸和」と「日光エナジー」
咲洲メガソーラーの落札時の契約では、「2013年1月1日から6ヶ月以内に発電を開始すること」という条件が付けられていた。だから2013年7月1日までに竣工して発電を買いとることが契約文書に明記されていたのだ。
ところが伸和工業側は発電期日を過ぎても工事すら始めなかった。本来であれば、この段階で大阪市は契約不履行を理由に、伸和工業との契約を解除して損害賠償請求などの懲戒手段を取るべきだったが、黙認・放置した。
そして契約不履行状態が8か月も続いた後、2014年3月16日の着工式に突然登場したのが、上海電力日本の「刁旭(ちょう・きょく)」社長だったのだ。