地元記者が暴く川勝平太静岡県知事の正体|小林一哉

地元記者が暴く川勝平太静岡県知事の正体|小林一哉

静岡県の川勝平太知事は、6月の知事選の期間中、富士市で開かれた集会で、「(静岡文化芸術大の学生は)8割ぐらい女の子。でも、11倍の倍率を通ってくるので、みんなきれい」などと女性蔑視とも受け取れる発言した。一応、川勝知事は記者団の取材に「撤回して謝罪する」と述べたが、川勝知事のトンデモ発言はこれだけではない! 地元記者として、川勝知事をウォッチしてきた筆者が、徹底追及!


暴言の数々

2019年もこんなことがあった。川勝知事はJR東静岡駅近くに県が計画する「文化力の拠点」事業をめぐり、公明党県議団、共産党県議との面談でこんな暴言を吐いた。

「(事業に)反対する人がいたら県議会議員の資格がない」

「県議会にはヤクザもいる、ゴロツキもいる」
 
これを静岡新聞がスクープし、記者会見で静岡新聞記者は「謝罪、撤回しないのか」と問いただした。ところが、川勝知事は「撤回する必要はない」 「こんなことを言った覚えはない。書いた人はそう思って書いたが、言った覚えはない」などと述べた。
 
もし、知事の言うとおりならば、静岡新聞は「嘘」を掲載したことになる。記者は「当方の信用にかかわるので、議会の要請があれば音声記録を提供する」と追及したが、川勝知事は「言った覚えは全くない」の一点張り。
 
朝日やNHKが後追いし、追及したが、知事はこう開き直った。

「(図書館)建設に反対する人はいない。県民がみな欲しいと言っているものに反対するのは公益に反する。公益に反する人は議員の資格がないと申し上げた」

「公益に反する人を反社会的勢力という。それはヤクザ、ゴロツキ」
 
結局、静岡新聞がスクープした発言を認めるかっこうとなったが、謝罪、撤回は拒否していた。
 
後日、県議会最大会派の自民改革会議は自民党県連合同役員会で、川勝発言問題について対応を協議。竹内良訓代表は「そのままにしていいわけがないという意見が多かった」と述べ、執行部で対応を検討する考えを示した。
 
竹内代表は「いまの段階では知事と予算折衝するつもりはない」とし、翌年1月6日に予定していた「文化力の拠点」に関する県当局との協議を見送ると表明した。
 
すると知事は緊急記者会見を開き、発言をすべて謝罪。問題の発言が次年度予算審議への影響が出るのはまずいと考えたようだ。

筋違いの批判

2020年5月にもこんなことがあった。
 
リニア中央新幹線静岡工区の問題を協議する有識者会議の公開方法を巡って、知事と国交省の間で諍いが起こったのである。
 
国交省と静岡県は1月、全面公開などを条件に有識者会議の開催について合意した。会議は新型コロナウイルス対策としてオンラインで行われていたが、ネットでの一般傍聴はできないことに知事は異議を唱え、国交省に「会議の透明性」 「JR東海への指導」について申し入れを送った。
 
それに対して、会議の事務局を担う水嶋智局長から回答が寄せられたがいずれもゼロ回答で、川勝知事の求めを退けた。
 
川勝知事はこれに激怒。定例記者会見で、会議がインターネットでライブ配信されないことについて、「透明性に欠ける。(配信せず)全面公開するという合意を守っているというのは筋が違う」と持論を述べ、会議の事務局を担う水嶋局長をこう批判した。

「folly(愚か者)、(水嶋局長は)猛省しなければならない」

「(水嶋局長は)会議の運営が拙劣である。マネジメントの不誠実さが表れている」

「(水嶋局長は)金子社長にすべて責任転嫁させている。水嶋局長は要するに筋を曲げている、約束を守らない、やる気がない」

「あきれ果てる運営で、恥を知れ、と言いたい」
 
赤羽国土交通相は、川勝知事が国交省の水嶋局長を批判したことに対し、皮肉交じりにこう反論した。

「県民を代表される知事職にある方が、公開の場で自身の部下でない者を名指しで非難されたことは、これまでなかったのではないか」

「筋を曲げている」のは、知事の水嶋局長批判のほうだろう。
 
水嶋局長は官僚であり、政治家ではない。当然、会議の運営について個人の裁量ではなく、国交省の判断基準に縛られている。法律や規則に沿って会議を運営しているはずだ。
 
国交省でもすべての会議は原則的に全面公開であるが、①機密性、②個人情報などにかかわるものの他に、③「率直な意見の交換若しくは意見決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合」などでも会議を非公開とすることはできる。
 
静岡県の求める「全面公開、透明性の確保」について、水嶋局長は報道関係者の傍聴、会議後の記者ブリーフィング、議事録の速やかな公表で確保しているという。
 
さらに、静岡県の求めに応じて、オブザーバーとして静岡県、大井川流域の八市二町のほか、新たに大井川利水関係者を加えた。

沿線のリニア反対運動などを念頭に、有識者会議の各委員から、生配信での発言の取り扱われ方など懸念が示されており、「限定的な全面公開」は委員の意向でもある。

つまり、委員らの「率直な意見の交換」のために報道関係者らの傍聴に限るのは、水嶋局長個人ではなく、国交省の判断基準に沿ったものなのである。

リニア開業による懸念

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