【わが政権構想】日本経済強靭化計画|高市早苗

【わが政権構想】日本経済強靭化計画|高市早苗

「安倍さんに『出馬してください!』と何十回お願いしても『100%ない』とおっしゃるので、7月下旬、もうこれが最後との思いで、もう一度お願いしました。そこできっぱり断られたので、『そんなんやったら、私、出たるからな』と安倍さんに言うたんです。止められもせず、勧められもしませんでしたが。勉強会を何度も重ねて、一緒に政策作りにも励んできました。『書き溜めてきた政策はどうすればいいんですか』と安倍さんに尋ねたら、『高市さんが発表すればいいじゃない』と(笑)」(月刊『Hanada』2021年10月号より)。独占無料公開! 高市早苗議員が日本を強くする「経済強靭化計画」のすべてを語った!


危機管理投資=成長投資

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私が特にこだわっている第3の矢「大胆な危機管理投資・成長投資」に話を戻し、幾つかの例を紹介しましょう。

□必需品の国内生産体制構築に向けた投資

昨年来、私達は、マスク、消毒液、防護服、ゴーグル、人工呼吸器、麻酔薬、注射器、パルスオキシメーター、非接触体温計などの不足を経験しました。新型コロナウイルス感染症の軽症から中等症の患者に対応する治療薬を輸入しなくてはならなかったことも、不安を拡げた。半導体も世界中で不足していた。

特に大半を中国からの輸入に頼っていた衛生・医療用品については、サプライチェーンの脆弱性を思い知りました。米国には、『国防生産法』という法律があり、政府に、緊急時に産業界を直接統制できる権限を付与しています。

昨年3月、当時のトランプ大統領は、同法に基づき、自動車大手GMに対して、人工呼吸器の製造を命じました。

今年1月に就任したバイデン大統領も、同法に基づき、医薬品メーカー、メルクの工場を、ライバル企業J&Jのワクチン生産に転用し、米国内のワクチン生産を加速させた。米国政府は、メルクがワクチン生産や瓶詰めをする設備を導入できるよう、1億500万ドル(約116億円)を支出しました。 

日本の法律では、民間企業に対して、特定の製品を作ることや国内生産を強制するような対応はできません。しかし、私は、感染症や大規模災害の発生など緊急時でも「生活・医療・産業に必要な物資」の国内生産・調達を可能にする施策を確立することが必要だと考えます。

具体的には、「生産協力企業への国費支援策の具体化」「研究開発拠点・生産拠点の国内回帰を促す税財政支援策の構築」「基礎的原材料の確保」などが、「危機管理投資」になります。

□情報通信機器の省電力化研究への投資

社会全体のデジタル化が進む中、消費電力が急増しつつあることに危機感を抱いています。

情報通信関連の消費電力は、2030年には現在の約30倍以上に、2050年には約4,000倍以上に激増するという予測があります(国立研究開発法人 科学技術振興機構)。特にAI(人工知能)、データセンター、ネットワーク系、スーパーコンピュータの消費電力が大きい。

たとえば、「アルファ碁」を1時間稼働させると、60世帯が1時間に使用する電力を消費すると言われます。今や日常的に利用する製品・サービスにもAIが搭載されており、AIの省電力化は急務です。

また、昨今は、経済安全保障を意識して、「データセンターの国内回帰」を求める声が高まっています。特に消費電力が多いサーバを中心にデータセンターの省電力化も急務です。

裾野が広い情報通信産業における「省電力化研究開発の促進」とともに、「安定的な電力供給体制の構築」を急がなければ、生活や産業が成り立たなくなる時が迫っています。

この分野への国費投入は「危機管理投資」ですが、世界中が同様の課題に直面することから海外展開ができるので「成長投資」にもなり得る取り組みです。

太陽光パネルのリサイクル技術開発への投資

太陽光パネルの耐用年数は20年から30年とされているので、2012年の「再生可能エネルギー固定価格買取制度」創設から計算すると、約10年後には、耐用年数を迎えた初期型パネルの大量廃棄が始まるでしょう。現在でも、自然災害によって損壊した太陽光パネルの廃棄は行われています。

太陽光パネルには、鉛やセレンなど有害物質を含む製品があり、適切に処分しないと「土壌汚染」が発生。建物から取り外しても、日光が当たる限り太陽光パネルは発電を続けるので、パネル面を表に向けたまま廃棄した場合、「感電の危険」があります。

多くの皆様の安全に関わる課題だと考えたので、総務大臣在任中だった2017年に、行政評価局長に対し、「太陽光発電設備の廃棄処分等に関する実態調査」を指示。その結果、「産廃処理事業者が、有害物質の含有可能性を認識せずに破砕し、遮水設備のない処分場に埋め立てていた」ケースが報告されました。

また、「産廃処理事業者が有害物質の含有状況を確認しようとパネルメーカーに照会したのに、メーカーが情報開示を拒否した」という悪質なケースも。

事業者によると、太陽光パネルのリユース・リサイクルを実施する事業者はほとんどないそうです。パネルの2割を占めるアルミフレームはリサイクルに回りますが、7割を占めるガラスは、分解が容易ではなく、再生利用先の確保も困難なので、破砕され、埋められます。

リサイクルを推進するためには、強力接着されたガラスや結晶シリコンなどの分解技術の開発や、コスト面の課題を克服する必要があるということでした。

私は、製造業者を含む関係事業者による使用済みパネルの回収・適正処理・リサイクルシステムの構築のために必要な「法制度整備」を、特に経済産業省に強く求め続けてきましたが、未だ実現していません。

太陽光パネルのリサイクルに必要な技術の開発は、約10年後に迫った大量廃棄の発生に備えた「危機管理投資」であり、世界の太陽光発電市場の大きさを考えると「成長投資」にもなる取り組みだと考えます。

この他、感染症収束後には大量廃棄が見込まれる「アクリル板の処分方法」についても、環境に優しい処分方法の研究や地方自治体への財政支援も、国が行うべき「危機管理投資」だと思います。

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