「デマ」を拡散させた3人のJアノン
ネット上では、コーネル工科大学の学生によるリサーチが話題になった。
コーネル工科大学(コーネルテック)とは、元NY市長のマイケル・ブルームバーグが、応用化学および工学キャンパス設立のために、世界中からコンペを募り、コーネル大学とテク二オン・イスラエル工科大学が共同で設立したものだ。
2012年から2017年まで、キャンパスは一時的にニューヨーク市内のGoogleの建物内にあった。ブルームバーグ自身もキャンパス創設プロジェクトに1億ドル(約100億円)を寄付しているとのことである。
今回、話題になったコーネル工科大学の大学院生が行った研究の趣旨は以下のとおりだ。
「2020年の米国大統領選挙をめぐる根拠のない選挙不正の主張が広範囲に拡散したことで、選挙への信頼が損なわれ、米国議事堂内での暴力行為で最高潮に達した。これらの主張が発信される主要なプラットフォームであるTwitter上での議論を把握することが非常に重要だ」
つまり、今回の大統領選挙で拡散された「選挙で不正があった」という主張は根拠がないデマであるという前提があり、そのデマがどのように拡散されたかを調べることには意義がある、という意味だ。
研究をリードしたAnton Abilovという学生は、自身のTwitterで「不正選挙を訴えるクラスター内の外国のサブコミュニティを特定しました。そのうち一つは、いわゆる『J-Anon』運動です」と述べている。
「Jアノン」とは何だろうか。
日本のトランプ支持者のことのようである。彼らにとって、外国である日本にトランプ支持者が幅広く存在し、応援のデモ行進までしていることが非常に驚きだったのだ。
もちろん、日本のトランプ支持者にも色々な人がいて、純粋に日本の国益を考えてトランプを支持した人も多かったが、米国リベラル派の目にはトランプ支持者などカルト信者にしか見えないというわけだ。
そして、Anton Abilov氏が抽出した影響力のある日本人Twitterアカウントが著名人を含めて20ほどあったのだが、その中によく知られた3人の名前があった。
門田隆将氏、西村幸祐氏、我那覇真子氏である。
そこで私は、今回の研究を指導したコーネル大学のモア・ナアマン教授に真意を問うべくメールをした。すると、予想に反して迅速に教授から返事をもらうことができた。以下にその邦訳を掲載する。
ナアマン教授殿
不正選挙の主張拡散に関する研究を興味深く拝見しました。いくつか質問させて頂けますと幸いです。この研究は、今回の大統領選挙に際して、不正や異常は一切なかったという認識が基本的前提となっていると理解してよろしいでしょうか。
トランプ支持者は多種多様です。研究に示された日本クラスターのリストには、少なくとも3人のまじめなジャーナリストが含まれています。あなたの研究はトランプ支持者を過度に一般化し、言論の自由を抑圧するリスクをはらんでいませんか。
ご返事を楽しみにお待ちしております。
鉄秀さん
議論を始める時間はないのですが、あなたは礼儀正しいので、今回に限っていくつかの回答を提供します。
「不正は皆無」は我々の研究の前提ではありません。我々の研究論文は選挙不正に関するツイートを記録したもので、それぞれの主張を評価したものではありません。
しかし、1人の市民として意見を述べれば、米国の複数の裁判所がすべての不正の訴えを却下し、トランプが任命したウイリアム・バー司法長官が広範な不正は無かったと宣言しましたので、個人的にはこれらの不正の訴えのほとんどは虚偽であったと思っています。
我々の報告書は個人のオンラインの公的な活動を記録することが目的です。我々は日本からのデータに対して報告書に書かれた以上の深い分析を行っていません。誰も一般化しないことを願っていますし、むしろ、各人のオンラインの活動を検証して、独自に判断して欲しいと思います(そのためにデータを開示しているのです)。
私は何らかのアクションを提示するものではありません。情報を提供しているだけです。
繰り返しになりますが、申し訳ありませんが、この会話を続けることはできません。
ご連絡ありがとう。