なべやかん遺産|「究極の癒やしソフビ」

なべやかん遺産|「究極の癒やしソフビ」

芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「究極の癒やしソフビ」!


その理由は、自分が好きな物しか置いていない場所であるからだ。欲しいという欲望で集められたものが集う場所。

“欲”という結果を目で確認できる場所。全ての物に対し愛情があるので、愛に満ち溢れた空間。そんな場所で癒しの怪獣ソフビを我が手に持つと、ストレスから解き放たれる。

マルサンのナメゴン、ウルトラマン、カネゴン、ガラモン、ペギラ、ギャンゴ。

ふぅ~

それらを持ち深呼吸。鼻から吸って口から吐く。良い氣が体内に入り込む。こうやって約40年過ごして来た。つらいことを乗り越えられてきたのも、こんな呼吸法を学んでの事。

ペギラは持った時の感じが実に素晴らしい。シックリくる厚みと重さ。

取り憑かれたら一生抜け出せない魔力

ほんわかした怪獣ソフビ、現在のバンダイ怪獣ソフビにはない、手に持った時のしっくり感がある。大きさも重さもちょうどよい。当時の原型師さんって本当に凄いよ。

そんな癒しの怪獣さん達を見てつくづく思うのは、怪獣に悪いやつはいないってこと。

体が大きいから色んな物を壊しちゃうだけ。民家に現れる猿やイノシシや熊と同じようなもので、人間による環境破壊で今まで住んでいた所が住みにくくなったり食事が無くなったりで出て来ちゃっただけなのだ。

貧乏芸人がお腹空いて街をふらついてゴミ箱漁ってるのと実は変わらない。

それなのに人間にとって邪魔という判断で駆除されるなんて可哀そうすぎる。害獣扱いされている動物も怪獣達も可哀そうな存在なのだ。

実は怪獣ってみんな可愛い顔をしている。はなから憎たらしい顔だったり、狂暴な顔をしている怪獣もいるけど、自分は好きになれない。デザインにあざとさが見えてしまうから。

怪獣は滅ぼされるために登場する。だから哀愁があるのだ。

怪獣ソフビを手に取ることで人間のエゴも感じる。でも、その場所は自分の欲望というエゴで集められた怪獣ソフビに囲まれた部屋。怪獣ソフビって面白いでしょ?

この魔力に取り憑かれると一生抜け出せない。これこそ滅びゆくもの達の呪いなのだろう。深いね~。究極だね~。

なべやかん

https://hanada-plus.jp/articles/304

昭和45年8月22日生まれ。たけし軍団初の2世タレントとして、91年デビュー。趣味の特撮キャラ収集では、30年以上前から専門誌やイベントで資料提供している。主催のお笑いライブは、個人主催では最長記録である。

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